長男を出産して退院した頃、近距離別居のトメさんがノートを私に差し出して
「嫁子ちゃん、コレ。○○家に伝わる心得なの。目を通しておいて」
と言ってきた。
優しくてちょっと天然で五十代なのに色々可愛いかなりの良トメさんだったし、長女出産時には大はしゃぎで孫フィーバー(迷惑とかはほぼ無し)してくれたから、すわ跡取り男孫フィーバーで嫁イビリ開始かと脳内が修羅場になって完全に固まってしまった。
神妙な顔をしてテーブルにノートを置いてそそくさとトイレに行ってしまうから、恐る恐る開いてみる。
ノートのページに古いメモ帳、というか和紙みたいなものが貼られていて、旧漢字を交えた達筆のギリギリ読める筆文字があった。
(大まかに意訳)
一つ、嫁のした事に逐一文句を付けると、息子にも嫌われる
一つ、嫁がしていない事も嫁のせいにして苛めぬくと、息子になぐられる
一つ、嫁の粗を探して嗅ぎ回り、付き纏うと旦那になぐられる
一つ、…
初めの一ページにドーンと、嫁に嫌われないための○箇条が。
続きには他にも生活の些細な知恵などが数ページに渡って書かれていた。
昔の知識過ぎて今は解釈が違うものは欄外に注釈がしてある。
和紙のページ以降は和紙に書いていない生活の役立つ豆知識っぽいことがノートに直接綴られていた。
緊張がどっと解けてふと廊下を見ると、トイレから戻ったトメさんが私の方を部屋の入り口から心配そうに見守ってる。
「あの…嫁子ちゃん、私その通りに出来てるかしら…?」
もちろんトメさん大好きですと伝えるとすごくほっとした顔された。
詳しく話を聞いてみると、トメさんは結婚した当初に大トメさんからこのノートを受け取ったらしい。
大トメさんはそのまたトメさんから、この貼ってある和紙を受け取ったんだとか。
この和紙を書いた大トメさんのトメさんは嫁時代、それはもうねちねちねちねちといびられていたんだとか。
時代も時代なだけに逆らうことも出来ない当時嫁さんが、鬱憤を抑えるために書いたんだという。
実際にはなぐられたりなどのボウリョク沙汰は一切なかったと聞いている。
そして時代は移り大トメさんが嫁に来た時、ああはなるまいと昔書いた紙を引っ張り出して大トメさんに渡して
「私がここに書いてあることをしたら叱ってちょうだい」
と話した。
その後大トメさんとそのトメさんは良好で、大トメさんはその紙を大切にノートへとスクラップしてまたトメさんへと渡して「私が~」と言い、とても良好な関係を築けたとか。
よく見てみれば、歴代のお嫁さんに主に生活の知恵ページを使い込まれてかなり古い…
本来なら私たちが結婚した時点で渡すべきだったんだけど、大トメさんは私たちの結婚前に病気で亡くなってて、本当の母子以上に良くしてもらった思い出が詰まっていたのでつい渡しそびれてしまったそう。
けれどうちに長男が生まれて嫁子ちゃんもいずれは姑になる、代々受け継いだものを途切れさせてはいけない!と決意したと。
有難く受け取り、スキャンして内容をコピーした物を後日トメさんに渡したら涙ながらに喜ばれた。
今はまだ小学生の息子のお嫁さんを考えるのは気が早いけど、クソトメと呼ばれないようにしっかり受け継いで行きたい。
他の方に比べたら随分些細な修羅場ですみません、一人だけ休日に早起きしちゃって暇だったので書いてみた。
100: 名無しさん@HOME 2013/04/21(日) 08:19:05.39 0
それが修羅場とは随分幸せな人生送ってるんですね。
別スレだったら「ええ話やな~、いい姑さんで良かったね」
だけどここでそれはないわ。いい加減にしろ。
103: 名無しさん@HOME 2013/04/21(日) 08:50:42.17 P
あたし画像自体見てみたい。
昔の和紙に書かれた達筆とか浪漫よね。
まあ修羅場とは思わないけど。
105: 名無しさん@HOME 2013/04/21(日) 09:02:52.67 0
なぜ修羅場w