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「男の子だったから、『三ツ星』って書いて『エース』っていう名前(仮名)にしようと思ってるの」

最近親友が出産した後が個人的な修羅場だった。

出産した親友は学生の頃から文芸部で文学科だった、
それはもうのんびりした落ち着いた性格の子。
妊娠中も旦那さんとは上手くやってるみたいだし、
出産まで邪魔にならないよう連絡は控えめにしてた。

そんな彼女から無事産まれたって連絡があって、
是非病院に見に来て欲しいって言われた。
彼女の性格的にお披露目は退院してしっかり身の回りのことを済ませてからかなーと思ってて、
ちょっと不思議だったけど、招待してもらったんだからと病院に。

お子さんは健康そのものだし彼女も元気そうでほっとしていたら、
病院の個室でニコニコ笑顔の親友に言われた。

「男の子だったから、『三ツ星』って書いて『エース』っていう名前(仮名)にしようと思ってるの」

思わず は? って言いそうになった。
勿論仮名だけど、実際こんな感じの、有り体に言ってとんでもないDQNネームだった。
名前と読み方全然関係ないし、その両方が滅茶苦茶だし、わけわかんない名前。
でも親友は「一回聞いたら絶対忘れないからよくある名前より絶対良いよね!」っていう頭お花畑な状態。

初めて見るぐらいにテンション高いし、もうあんた誰だよ私の親友どこへやったんだよって感じだった。
旦那さんも一緒だったんだけど、疲れたような諦めたような顔で、
本気でそれに決まりそうなかんじだった。
なんとか止めたいなぁとは思ったんだけど、私も他人だし何も言えず、
もやもやしながら祝って帰宅した。

でもやっぱり気になる。

普段の親友を思い出せば思い出すほど、後から後悔するとしか思えない。
一晩悩みに悩んで、例えこれで縁を切られても
言うべきことは言ってやるって腹をくくって翌日も病院に。

緊張しながら会った彼女はなんか堅い顔してて、
私が何か言うより先に「昨日はごめんね」って手を合わせた。

それで「やっぱり子供の名前は『直樹』(仮名)にしようと思って」ってあっさり言った。
旦那さんとちょっと似た名前で、凄く普通。
覚悟決めて来たのに、私何も言うことない。全身から力抜けて倒れそうになった。

んで「私もそっちの方が良いと思うけど、どうして」って聞いたら、携帯のボイスメモを見せられた。

メッセージ的なタイトルのが何件も入ってて、
その最後のを再生してもらったら、流れてきたのは凄く落ち着いたいつも通りの彼女の声。

「出産を終えた私、元気ですか。体は大丈夫ですか。
子供は元気ですか。元気じゃなかったなら、その事を気にしていたりしませんか」
みたいなことを、凄く優しい声で言ってる。悪阻が始まるよりさらに前に録音したっていう、
彼女から彼女へのメッセージだった。

旦那さんのちょっとした言葉を悪く捉えたりしてないか、
両親の言葉に無用なプレッシャーを感じてたりしないか、って感じで色んな心配をした後、
最後に「子供に変な名前をつけようとしていませんか。
私は男の子なら直樹、女の子なら早樹が良いと思っています。
子供が歳を取って大人になって結婚して子供が出来て孫が出来て、
例え孫に呼ばれても恥ずかしくない名前にしてあげてください」っていうのが入ってた。

思わず「おじいちゃんにエースはないよね」って言ったら、
彼女真っ赤になって「それはもう忘れて!」って。

166: 名無しさん@HOME 2013/10/13(日) 15:22:26.60 0
つづき
旦那さん曰く、何を言ってもどうしても聞き入れてくれないから、
最後の手段だと思ってこの録音を聞かせたんだって。
そしたらぽかんとした顔で止まっちゃって、その後延々と、
時間で旦那さんが追い出される時もずーっと聞き続けて、朝になったら元に戻ってたんだとか。

彼女本人も昨日までの私は絶対におかしかったって言ってて、
多分内心では凄い修羅場だったろうなーと思う。
その後は何も問題は起きてないんだけど
、あの悩み明かした一晩は私の中では間違いなく修羅場だった。

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taka:

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