数年前の話。B妻以外はみんな同じ職場です。
A子さん→女性。30代前半。
B課長→男性。40代半ば。お荷物的存在。
B妻→女性。40代前半くらい?普通の主婦といった感じ。
C課長→40代前半。仕事ができる。
私→女性。傍観者。
ある日の午前中。
いつものように業務に勤しんでいた私の耳に、女性の怒声とそれを抑えようとする男性の声。
声はフロアの来客用受付の辺りから聞こえてくる。と思う間もなく顔を強張らせた小柄な女性が。
ジーパンにフリース、素ッピンという明らかに社員らしからぬ身なり(どれも職場では厳禁)。 フロア中の60人程の社員の視線が一斉に女性に向けられる。
やや遅れてその後ろから見え隠れする姿は狼狽した表情のB課長(彼の部署は別フロア)。
B課長は、女性社員について、美人とかブスとかやれるやれないとか平気で口にする上に
容姿の良し悪しで接し方にあからさまな違いがあったりもしたので、嫌っている社員も少なくなかった。
(ちなみにB課長本人の容姿:チビ。淋しい頭髪をかき集め規定ぎりぎりのロン毛にし、エレベーターの中などで女性社員と同乗したときはここぞとばかりかきあげる。カーディガンの袖口を両肩に引っ掛けたりする)
『A子さんはどなた?』と近くの社員に尋ねる女性。
馬鹿…と女性を連れ出そうとするB課長。
ここでようやくこの女性はB課長の妻らしいと推測。
今度は全員の視線がA子さんに。訝しげに名乗り出るA子さん。
A子さんは、一年程前にご主人に先立たれたのを機に契約社員として働き出したシングルマザー。
A子さんはグラマー(非デブ)で 、こういっては失礼だが妙にエ口いフェロモンがあり入社当初は口さがない噂が立ったこともあった。しかし真面目な仕事ぶりと親切な人柄で、今では職場にも溶け込んでいた。
B妻はA子さんに『主人が大変お世話になっているそうで』
無難に受け答えるA子さん。
困惑しつつもうろたえている様子はない。
『堂々たるもんですね』含みのあるB妻。
私も周囲も何となくB妻の意図を察知。
A子さんも表情が硬くなった。
すると突然B妻は、数枚の紙の束をA子さんの顔に押し付けるように突き出した。
のけぞりつつA子さんは無言で紙の束を受け取り、一枚ずつ目を通している模様(私の位置からちらっと見えた感じではメールをプリントアウトしたような画面)。電話応対している人以外フロア中が沈黙。 A子さん『失礼ですが、このメールが私とご主人との間でやり取りされたという証拠はありますか』
B妻『相手があなたの名前でしょ!』
A子さんは否定。B課長のアドレスすら知らないという。B妻、深い溜息をつき、やはりタチ悪いわこの人…等。
B妻の後ろで腕組みをしつつ何故か周囲を見回しニヤニヤ笑みを浮かべるB課長。
淡々としたA子さん、聞く耳持たないB妻、おどけた(見た目だけは)様子のB課長がちぐはぐで痴話喧嘩?にしては妙な空気。
B妻は今度はB課長に向かって、自分だけだと思ってたの?とか言って、さらに別の写真を取り出しA子さんへ。
あっちこっちと…とか、これだって妻子もちでしょ…とか何とかB妻。
A子さんに見せた写真を今度はB課長に見せようとした。すると突然A子さんがB妻の腕を掴みその写真を取り上げ
ようした。喚くB妻。とりあえずA子さんから写真を取り上げようとするB課長。
一気に状況が騒然となったが全員動けず。それまで毅然としていたA子さんを何となくだけど応援しているような周囲の空気が微妙に変化。
A子さんは小さい声で、写真の男性は独身なので問題は無い。但しこんなふうに晒される訳にはいかないと訴える。
B課長『いやいやいや独身じゃないからこの人』と何故かまたニヤニヤ。
こんなにしたたかだから手玉に取られても仕方ないよと、明らかに職場全体の人間を意識した口調でB妻に訴える。
A子さんは何も言わず。
すると同じフロア内だが、3人から全く離れた席に座っていたC課長が立ち上がって彼らの方に歩き出した。
C課長は仕事が出来て頭が切れる上に、上からの信頼厚く下からの人望も高い。全員が注視する中A子さんの隣に。
C課長(A子さんに対して)『俺のことか』A子さん『…』
どうやらC課長とA子さんが特別な関係にあることが推察。
しかしC課長もたしか既婚者だった筈。
B課長の『手玉に…』発言は、A子さんが、B 課長とC課長とを両天秤にかけて二重に不倫してたことを皮肉ってたのか。
あるいは、B課長とは何もなかったとしても、やはりA子さんは不倫するような女性だったのか…。
私はA子さんにもC課長にも人間的な好意を持っていたのでとても嫌な気持ちになった。
C課長はB妻に、写真に写っているのは自分だ。
A子さんと個人的に親しい関係にあるが…
大分前に離婚したので問題無いと言った。
『これは(といって胸ポケットから携帯電話を取り出してB妻に画面をみせる)私が登録しているA子さんのアドレスです。
A子さん、あなたの携帯持ってきてくれるかな。』
A子さんは素早く反応。
その時の二人の雰囲気はすごくしっくりくるものだった。
そしてB課長に携帯を出して欲しいと頼んだ。
ごねるB課長。
B妻が『これです』と取り出す。
どうやらB妻に取り上げられていたらしい。
『両方の携帯から(A子さんに)同時にメールを送りましょう。宜しいですか?』
数秒後…
A子さんの携帯の受信ランプが点灯。
黙って画面をB妻に確認させるC課長。
B妻無言。
B課長無言。
C課長『お引取り下さい』
泣き出しそうな顔でA子さんに頭を下げるB妻、それを放置して物凄い早足で(腕組みしたまま)フロアを横切り出ていってしまったB課長。
複雑な表情でB妻を外につれだそうとするA子さん。
何事も無かったかのようにいつの間にか仕事に取り組んでいるC課長。
周囲呆然。
なんかコントのようだった。
その後数日間、誰に聞かれてもA子さんは何も話してくれなかった。
以下。
シークレットフォルダには、『A子さん(の名字)』という名前で登録された不倫相手とのラリメールがごっそり。
その不倫相手とは、内容から推察するに同じ会社の女性。
ラリメール中では、B課長は不倫相手に対して常に愛称で呼びかけており、その愛称はA子さんの名前にも当て嵌められるような呼び名だったらしい。
(例えばA子さんの名前が『さちこ、さちえ、さとみ、さやか、等々…』だとしたら→『さっちゃん』)
B妻は不倫相手がA子さんその人と信じて疑わなかった。証拠集めの為にチェックを続けていると、
『出張先のホテルに会いに来て』→出張期間中のB課長の動向調査を興信所に依頼。しかし相手は来ず。その後
『今度は○○に出張。今度こそ来てくれるね?他にも誰かいるの?』→どうやら相手の女性はB課長以外の男性とも関係があるらしい。
出張中にきっともう一人の男性と会うに違いない。その証拠を突きつけてB課長の目を覚まさせてやろう。→A子さんの身元調査および
出張期間中(B課長の)の動向調査を興信所に依頼。→A子さんとC課長の仲が判明。C課長は年齢からいって既婚者に違いないと勝手に思い込む。
→二人の男性と同時に不倫するような女性は大恥かかせて職場にいられなくしてやる。ついでにこの事実をB課長につきつけてショックを与えて一石二鳥。→凸
→しかしB課長とC課長、それぞれの携帯から同時にA子さんにメールを送信した所、受信されたのはC課長からのメールのみだった。A子さんは全くの別人と判明。
他の日のB課長の調査やC課長の身元調査まではしなかった。という経緯(金銭的な理由?)。
なぜB課長が関係無いA子さんの名字を使ったのかはA子さんにも不明。B課長は証拠のメールを突きつけられた時もなぜかB妻の誤解を解かなかったらしい。
A子さんがカモフラージュとして生贄になったのだろうか。
ただ、これは後に私だけA子さんから聞いた話だが、
以前から社内の人気の無い所で待ち伏せされてたり、間違いの振りで社内メールや内線電話を掛けて
こられたりしたそうで、勝手に拒絶された復讐のつもり…だったのかも知れない。
C課長はA子さんが入社する以前から離婚していたそうだが、元々最初の結婚の時も泣き出されたり結婚後もストーカー化したりという女性社員が複数いたので、面倒なことになりたくないと、本社の人事にしか離婚のことは話さなかったらしい。
そしてB課長の本当の不倫相手だが、A子さんと同じ愛称かつ可能性のある人は社内に数人おり、A子さんもC課長も知らないと言い張った。
特にC課長が詮索を毅然と突っぱねたので、上の人間もなあなあで済ませようか…という空気でうやむやになった。不倫に関しては男性に甘く女性に厳しい職場なので、二人とも気遣ったのだと思う。 ある飲み会の席で上司がC課長に対し
『万が一A子さんとB課長が本当に付き合ってて、あの時B課長の携帯からのメールも受信したらどうするつもりだったの?大恥かく
可能性もあったんだよ?』と聞くと、C課長は
『それだけだらしない女性と見抜けなかった自分への良い薬になったでしょうね』
その後C課長は本社に栄転。
A子さんはお子さんとともにC課長の籍に入り一緒についていった。
B課長は元々お情けで課長職に就けたようなものだったのに、この騒ぎでよく解らないポストに降格になったが、不景気なご時世なのでしがみついている。離婚もしてないらしい。
私はそれまでB課長に、華が無い異性として魅力に欠けると言われてて、内心B課長みたいな男でも、異性として認められたら
嬉しいのかな…と思うことも正直あった。しかし華があって性根もしっかりした女性はやはり良く出来た男性と縁があるのだと猛省した。
最近婚約したのだが、たまたま出張で再会したC課長からA子さんが妊娠されたと聞き二重に嬉しかった。
A子さんも私の婚約を聞いてお祝いのメールを下さったのでこのスレに書いていい?と聞いたら構わないといってくれたので記念に投下。
文章が不慣れ上に長くてごめん。しえんありがとうその後C課長は本社に栄転。A子さんはお子さんとともにC課長の籍に入り一緒についていった。
B課長は元々お情けで課長職に就けたようなものだったのに、この騒ぎでよく解らないポストに降格になったが
不景気なご時世なのでしがみついている。離婚もしてないらしい。
私はそれまでB課長に、華が無い異性として魅力に欠けると言われてて、内心B課長みたいな男でも、異性として認められたら嬉しいのかな…
と思うことも正直あった。
しかし華があって性根もしっかりした女性はやはり良く出来た男性に縁があるのだと猛省。
最近婚約したのだが、たまたま出張で再会したC課長からA子さんが妊娠されたと聞き二重に嬉しかった。
A子さんも私の婚約を聞いてお祝いのメールを下さったのでこのスレに書いていい?と聞いたら構わないといってくれたので記念に投下。