私が1才の頃に両親は離婚し、それ以来父親には会ったことがなかった。
父方の祖父が亡くなり、遺言で私に遺産相続があったので、相続会議のために両親離婚後初めて父方実家に行き、そこで父一族に会ってきた。
ほぼ初対面に近い父も「大きくなったなー」と優しくしてくれた。
びっくりしたのが、父の妹が私にそっくりだったこと。
叔母も「私の若い頃と同じ顔だわ」と驚いて、若い頃の写真を見せてもらったけど、本当にそのまんま。
私は父似だと聞いていて、父と叔母は兄妹だから似ていて当然なので結果的に私と叔母が似ていても不思議ではないが、それにしても生き写しみたいだった。
会議の終わった後の食事会でも、私と叔母のそっくりぶりで盛り上がった。
しかし、そこで両親の離婚理由を聞かされたことで、ちょっと笑い話では済まされなくなってきた。
両親の離婚理由とは…
「父が極端なシスコン」だったと酔った親戚の口から判明したのだ。
話を聞く限り、叔母は兄をどうとも思っていなかったらしいが、父は年の離れた妹が可愛くてしかたなかったらしい。
母の私物を勝手に妹にあげてしまったり、妹の誕生日だからと臨月の母を置いて出かけたりやりたい放題だったという。
それに母が腹を立てて離婚を申し立て、父も
「妹と会うのを邪魔する嫁などいらん」と応じたそうだ。
叔母は、幼少期から兄のシスコンぶりに引いていて、なんとか距離をとろうとしたそうだが、どんなに逃げても追いすがってくるので諦めきっていて、多分そのせいで今も独身。
両親離婚時には、叔母が母に土下座して謝罪していたそうだ(親戚が目撃していて、笑い話みたいに言われた)。
それを聞いてから、父の優しさの理由がわかってドン引き。
日帰りの予定だったのを泊まっていけとしつこく引き止められたけど逃げ帰ってきた。
うっかり電話番号を交換してしまったので着信が大量にあるが、無視してたら、会いたいだの愛してるだの、気持ちの悪いSMSが送られてきててさらにドン引き。
叔母からも「ごめんなさい、なんとか止める」とSMSがきてた。
母が離婚理由をかたくなに言わなかったわけがよくわかった。
母に相続会議に同伴してもらわなくて本当によかった。
ちなみに母は
「どうせ書類上のやり取りなんだから、行かずに済ませたら?」
と直前まで引き止めてくれてたんだけど、私がまだどこかに父親ドリームを持っていて
「一度くらい父に会いたいし、祖父のお仏壇にお礼言いたい」
と無理に行ってしまった。
母がはっきり言ってくれてたら・・・と思わんでもないけど、まさか五十路超えてまで強烈なシスコンだとは思わなかったろうし、その対象が娘になるのも予想外だったんじゃないかな。
まさか実父がシスコンだから離婚しただなんて、娘に言いたくないだろうし・・・