俺は不動産会社勤務、嫁と二人暮らしで、自宅は賃貸(家賃、月額10万円)。
まだ、結婚2年目なので取りあえず小梨。
休みは毎週水曜日+1日(社員で調整)。
これが前提。
先日、帰宅すると、なにか嫁の様子がおかしい。
いつもは良くしゃべる嫁が今日に限ってうつむき気味でほとんど口をきかない。
生活板、家庭板に入り浸っている俺は、
「まさか、浮気か??」
とか妄想して、半ば、面白半分に、嫁に対して、
「どうした、何があったんだ」
と詰め寄ってみた。
すると、嫁は、
「ごめんさい、俺さん、許してください」
と泣き崩れた。
俺は、本当にビックリした。
「おい、冗談だろ・・・」
すると、嫁は、玄関に掛けているカレンダーを指して
「カレンダーを外して見てください」
と言った。
俺は訳が分からずカレンダーを外した。
するとその裏に、「催告書?」とかいう書類が貼られていた。
内容は、
「○月○日午後○時に明渡の強制執行をする。××裁判所執行官△△」
といったものだった
他にも事件番号とかいろいろ書いてはあった。
何だこれは????
嫁の話だと、今日の午前中、裁判所の執行官を名乗る人物ほか4,5人の男が来て、部屋に立ち入り、この書類を貼っていったそうだ。
そのうちの一人が債権者代理人の弁護士だと名乗って名刺を置いて行ったとのことだった。
カレンダーの裏に貼られていたのは、家に来る人にわからないようにするための配慮だったらしい。
俺は不動産会社に勤務していることもあり、建物の明け渡しの強制執行に判決が必要なことは知っている。
しかし、そもそも、俺は、判決はおろか、 裁判所からの書類など受け取ったことがない。
いったいこれはどういうことだ。
それで、俺は嫁に、
「まだ、隠していることがあるだろ、裁判所から書類が届いているだろ」
と言った。
すると、嫁は
「ごめんさい」
と言って、泣きながら裁判所から届いた書類を出してきた。
3か月位前に裁判所から書類がきていて、 家主の明渡の請求を認める判決が出ていた。
しかし、ちゃんと家賃を払っているのになんでこんな裁判を起こされたんだ、と思った。
それで、俺は嫁に
「家賃、ちゃんとはらっているよな」
と聞いた。
嫁は
「ごめんなさい」
と言いながら、泣き続けて話にならなかった。
俺は、毎月50万位を嫁に渡している。
家賃を払えないわけはない。
仕方がないので、翌日、名刺を置いて行った弁護士に連絡をとることにして、
その晩は寝ることにした。
翌日…
その弁護士に連絡を取って話をすることができた。
俺が、半年以上前から 家賃を払っておらず、弁護士名で家賃の支払いを求める内容証明を出したが、 無視されたので、やむなく裁判を起こした。
俺が裁判所からの呼び出しも無視をしたので、そのまま判決が出た。
その後も、手紙を送ったりしたが無視されたので、やむなく強制執行を行うことにした、ということだった。
俺は、嫁に任せていたので家賃を払っていなかったとは知らなかった、
裁判所からの書類も昨日来たことを知ったと弁解をした。
そして、どうすれば、強制執行を取り下げて もらえるか、
このままここに住み続けることができるか聞いた。
弁護士は、家主と相談するが、滞納中の家賃全額を速やかに払った上で、保証金名目で
60万(家賃の半年分)を預けてもらえればよいと思うと答えた。
それで、3日後に弁護士の事務所に行くことになった。
明渡の強制執行では、まず、「催告」ということで、
いつまでに明け渡さないと強制執行するという警告のようなものをし、
それでもダメだと実際に強制執行をされてしまうが、俺の場合、催告の段階で
弁護士に連絡を取ったので助かったわけだ。
その日、家に帰って嫁を詰めると、家賃を払っていなかったこと、内容証明とか受けとったが、
俺に怒られるのが怖くて言えなかったことを白状した。怒った俺は、実家に帰れ
といって嫁を追い出した。嫁実家には「ちょっと喧嘩をしたので、頭を冷やすために
嫁を実家に帰らせた、よろしくお願いします」と連絡をした。
3日後、弁護士事務所に行き、和解書に署名捺印して、150万ほどのお金を払って
強制執行を取り下げてもらった。家から追い出される修羅場は終わったが、これから
嫁実家に行って、義両親を交えて嫁と話をしなければいけない。
こんなことをされてはたまらない、これからどうするか、これも頭が痛い・・・
嫁には、家計用の俺名義の通帳とキャッシュカードを預けていたが、それは取り上げた。
取りあえず、公共料金等はそこから引き落とされていて大丈夫そうだ。
ただ通帳からは、毎月現金で30万近くが引き出されている。
この使途が問題だと考えている。
クレカの嫁用の家族カードは解約した。今のところ不審な利用は見つかっていない。
それから、年明けになるが信用情報機関には問い合わせをしてみる。
やっぱり、一人で嫁実家に乗り込むのはよくないのかなあ。正月に話し合い
というか、嫁に事情を聞こうと思っていたのだが・・・・
話しの内容次第では、使い込んだ(と思われる)金を手切れ金にして離婚する
とか、家計の管理をすべて俺がするとか、考えようかと思っていたのだが。
義実家には2日に一人で行って
きた。嫁、義父、義母がいた。義兄家族も帰ってきていたらしいが、
義父が席を外せというので、家族で初詣にいったそうだ。
それで、義父からの提案。
嫁のために余分に払う羽目になった150万を義実家が毎月5万円×30回で返すから嫁を許せと。
それに対して俺からの提案は…
150万はいらない。
しかし、持って行った金(300~400万)の使途を明らかにせよ。
毎月30万近く何に使った?使途によっては考えるところがある。
嫁の家族カードは没収。カードは使用禁止。
俺のキャッシュカードも使わせない。
毎月家計簿(領収証、レシート等支出の根拠になる証拠付き)をつけて俺に提出。
月初に10万渡し、足りなくなったら俺に請求。請求時には家計簿を点検し、怪しい
支出がないことを確認する。
義父曰く、嫁は使途を明かさない。
これは、嘘だな。嫁は義実家に金を渡していたんだろう。義父は気位が高く
面倒な人である上、事業(内装業)がうまくいっていなくて金には困ってい
たはずだ。嫁が持って行った俺の金を義実家で使ったとは言えないんだろう。
ということで、話は決裂。義父は自分が頭を下げてもダメか、というので、
俺からの提案を呑んでください、と答えて帰宅した。
嫁は終始下を向いて無言だった。
金の使途(ほぼ間違いなく義実家に渡している)をきちんと話して、義父が
土下座でもして来れば、もう少し考えたけど、偉そうに首を前に曲げた程度に
頭を下げられても逆にむかつくだけだった。
その後もうんともすんとも言ってこないんで、来週でも会社の顧問弁護士に相談して
家庭裁判所に夫婦関係調整(離婚)の調停でも起こしてもらう。離婚まで婚姻費用を
分担しろっていうなら別にかまわない。そのかわり持って行った金の使途は徹底的に追及してやる。
でも、家事の調停は普通の裁判と違って本人も弁護士と一緒に行かないといけないんだよね。
ああ面倒くさい。最終決着がついたら、その報告に来るね。
その後、嫁からメールが来た。
嫁、義母、義兄で俺と会い たいということだった。
しかし、俺はもう弁護士に頼んだからそちらに 連絡しろと会社の顧問弁護士の住所と連絡先を返信した。
それで、三人は直ぐに弁護士に会った。
俺は会う気はないといって出席を拒否。
ところが、3人と会った弁護士から驚きの連絡があった。
金は義実家のために使ったと嫁が白状し、俺の条件はすべて呑むので戻らせてくれとお願いしてきた。
ここまでは、義父が来なかったことで予想はついた。
ところが、さらに義兄から驚きの要請があった。義兄は腕の良い職人さんで
大げさに言うと義父の会社の実務部門を統括している。
義兄の一番の悩みは義父が尊大で取引先の不興をかったり、逆にいい顔を
しすぎて赤字の施工を請け負ったりすることらしい。
このままでは会社に将来はない、自分の将来もどうなるかわからない。
それで、近いうちに俺に協力させて義父を会社から追放することを考えていたという。
以前から俺にちょこちょこ義父のことをこぼしていたり部下の職人さんたちに
俺のことを紹介したりしていたのはそのためらしい。意外と義兄は策士だった。
また義兄は義父が隠していたため嫁が俺の金を義実家に渡していたことを知らなかったようだ。
義父は義母にもそのことは黙っていろときつく言っていたらしい。
それで義父は義兄の口から隠し事がバレるのが困るので年始の話し合いの時に義兄を
遠ざけたようだ。ちなみに、会社の経理は義母がやっている。
義母も経理を預かる身として義父に対しては義兄と同様な思いだったようだ。
ところが、今回の一件でそれどころではなくなりそうだということで、義兄は
慌てて嫁や義母と一緒に弁護士の事務所に飛んできたということだった。
その話を聞いて俺は考えた。これはいいチャンスかもしれない。
俺の勤めている会社は自社で売った物件の賃貸管理もやっている。
それで、賃借人が退室した時には内装工事が必要なことも多いので、
社長は無理のきく内装業者を欲しがっていた。
いずれ、傘下にゼネコンをもって自社物件を建築させるという夢も持っていた。
これは社長と義兄の両方に恩を売るチャンスにちがいない。
俺は速攻で弁護士と社長に会い、義兄に協力して義父の会社を乗っ取り、
賃貸物件の内装等をやらせてはどうかと相談をした。俺自身が物件の販売では
1、 2位を争う営業マンだったこともあり、社長はほぼ二つ返事で俺の計画に
乗ってくれた。
そして、社長、弁護士、義兄、義母、俺、おまけで嫁も加えて作戦会議を開いた。
弁護士の作戦は、次のようなものだった。
まず、義兄は部下をまとめて辞表を取りまとめる。義母は離婚届を用意する。
義母は離婚届けに署名・押印しておき、証人には義兄と嫁がなって義父に
プレッシャーをかける。子供二人が義母の味方になったことをあえて見せつける
わけだ。後は義父が署名・押印をするだけにしておく。
俺と嫁との話に決着をつけると称して全員が弁護士事務所に集まる。
そして、義兄と義母が辞表と離婚届を義父に突きつけ引退を迫り、さらに
弁護士が追い込む。
弁護士によれば、そのときの義父の対応は渋々了解するか。
徹底抗戦するかのどちらかだろうということだった。
渋々でも了解したら、その場で義父の取締役の辞任届、新しい取締役を
選ぶ臨時株主総会議事録、新しい代表取締役(当然、義兄が就任する)
を選ぶ取締役会議事録、義父の持っている会社の株式を義兄に売却する
売買契約書などに署名・押印させその日のうちに法務局に持ち込んで登記をする。
必要な書類は弁護士の方ですべて用意をしておく。
万一、徹底抗戦するようなら、辞表と離婚届を叩きつけ、即座に義兄が義父の
会社の職人を引き連れて独立し新会社を設立する。これも弁護士の方ですべて
準備をしておく。それから、新会社にはうちの社長が仕事を出すと約束してくれた。
最初の運転資金も貸してくれるという。
義母は義実家には戻らず義兄の家に身を寄せる。
こうされたら義父は公私ともに孤立して、会社は業務がマヒしてしまい、
おそらく三日と持たず陥落するだろうと。
不動産会社はいろんなトラブルが起きて仕事を頼むいい客だから弁護士も
仕事が早い早いwww
あっという間に、ここまで決まった。
後は、義母と義兄が心を鬼にしてこの計画を実行できるかだけが問題だと。
もちろんことが済んで義父が会社の実権を失っても多少の給料は払うことに
するし、義母も義父が引退して義兄に仕事を任せるならなら本気で義父を捨てる
つもりはない。いずれにせよ義母はこれまで通り義兄の会社の経理を担当する。
ついでに嫁も義母に再教育してもらうということになる。
義母によれば、義兄は自分(義母)に似てしっかりもので、嫁は義父に似て気が小さくて中身がない。色々と社会経験を積んだ結果かえって義父の方が相手によって
尊大になったり卑屈になったりして手におえない。景気が良かったころはまだましだったが、
最近の義父はいるだけ邪魔で義兄が会社の屋台骨を支えていたという。
そして、義兄が職人たちに根回しをして辞表を取りまとめ先日この作戦は
決行された・・・・・
時間がたつと動揺する人間がでたり情報が漏れたりするので急げというのが弁護士の
アドバイスだった
それにしても、さすが義兄は職人さんたちから信頼されている。以前から義兄に
社長をやってもらえると働きやすいという声が広がっていたせいもあるようだが、
義兄が義弟(俺のこと)と義弟の会社の社長の支援を受けて勝負に出る、
自分が父親の会社を乗っ取るか追放されるかどちらかだ、
みんな自分についてきてくれるかと涙ながらに演説をぶったらしい。
それでよく義父に密告する奴がいなかったもんだ。義父は本当に職人さんからも
嫌われている。
細かいやりとりを書いてもしょうがないので結論だけを書く。
義父は最初はふざけるなとか怒っていたが、辞表の束と離婚届を突き付けられると
ほとんど数分で無条件降伏だった。義母と義兄の「裏切り」に茫然自失だった。
最後は。「勝手にしろ」と言いながらすべての書類に署名・押印した。
必要な印鑑はすべて義母が管理をしていたので義母が持ってきていた。
株の代金は俺が立て替え、その場で弁護士が事務員に指示をして義兄の名義で
義父の口座に振り込ませた。
義父はしばらく無言のまま右手で額を押さえていたが、義母の「お父さん帰るわよ」
という声に促されよろよろと立ちあがり、義母と嫁に支えられて帰って行った。
これで完全引退だろう。あとは、盆栽でもいじって余生をすごしてくれ。
そこに、うちの社長がきた。よくわからんが満面の笑みで「これからよろしく」と
義兄の両手を握って握手をしていた。さっそく、仕事の相談らしい。
ちなみに、義父が辞任をした後の取締役は俺が就任した。
忘れていた。嫁はその日にうちに戻ってきた。
取りあえずカード無し、家計簿をつけさせながら様子をみる。
諸悪の根源みたいな義父が追放されたし、義母を
手伝って会社の経理も勉強させるから経済観念もついてなんとかなると期待している。
それから弁護士費用は義兄のものになった会社が払った。
顧問先が1件増えて弁護士もうれしくてしょうがないだろうなww
泥沼の離婚調停を期待した方にはつまらん結論かも知れないが許してくれ。