私の子供の頃の話です。
当時私は社宅に住んでいました。
間取りは、玄関脇にトイレがあって、トイレの換気口が社宅の共有廊下に繋がっていました。
我が家は一番端っこだったのでそういう作りで、他の部屋はそうなっていなかったようですが…。
ちょっと分かりにくいけど、我が家のトイレからだけは廊下の隅っこで交わされる会話がスピーカーのようまる聞こえ。
どういう効果か分からないけど、ささやき声も思いっきり拾う。
私は小さい頃 お腹が弱くてよく学校を休んでいた。
そしてお腹が痛くてトイレに籠ることがしょっちゅうだった。
お腹が痛いので、外から聞こえる話声もほぼ聞き流していた。
話の内容は 社宅の奥様方の噂話。
お腹が痛いよ~と半泣きになりながらだったけど、いつも同じような会話が繰り返されるので、嫌でも内容を覚えてしまった。
内容は A部長の奥さまがやたら気合い入ったお化粧で出かける。
○○駅で見かけた。
男の人と腕組んでた。
あれってデートよね?
あの男の人って営業のB君ぽくない?
B君ってC部長とこの娘さんと婚約したって言ってなかった?
当時小1くらいだった私は、それをそのまま夕飯の家族の団らんでしゃべりました。
すると…
何をわけのわからないことを言ってるんだ!と怒られました。
が、父も小1の子供が知ってるような話のはずはないと思ったのか
「もう一度説明してごらん」
と言われた。
でも 怒られて怖かったので私も頑として言わなかった。
また怒られそうな気がしたので。
その後こっそり母に トイレで聞いたと打ち明けた。
それからしばらくして、我が家に深夜 男の人が来たりして父と話し合ってた。
時々大きな声が出てたり 怒ってる声がして 怖くて私はベッドで震えてた。
当時は何があったかは知らなかったけど、うちに来てたのはC部長さんで
B君とやらを呼び出していろいろ話し合ってたらしい。
だいぶ後になってから 晩酌で父と母が話してる断片が耳に入った。
たぶんA部長の奥さんとB君は不倫。
A部長は奥さんと離婚。
B君は左遷で婚約破棄になったんだと思う。
何も悪いことしてないと思ってたのに いきなり父に叱られたことと、
夜中寝てる時に 居間に知らない男の人が来て
怒ってるような声が漏れ聞こえたのがとても怖くて怖くて
その当時の私にとっては恐怖の修羅場でした。