私のダンナは、以前はよく友人や親戚を家に呼んでいた。
そのたびに私は胃がキリキリしながらも
「これも妻の務め」
と精一杯もてなした。
多いときは7~8人呼ぶこともあり、私は持病の坐骨神経痛の痛みに耐えながらずっと台所に立ち続け、大人数に見合う酒の肴(ダンナの友人は酒豪が多い)や料理をひたすら作り続けた。
ダンナはといえば、客らと私の知らない趣味関係の話題などで盛り上がり、私に対してはたまに
「つまみがそろそろ無くなりそうだぞ~!」
と声を張り上げるだけ。
もちろん料理を運ぶのさえ手伝おうとしない。
ダンナが呼ぶ客の中には女性がいることもあったけど、彼女達も私を手伝うなんて思いつきもしないのか、どっしりと座りこんで、私が運ぶ料理を当たり前のように食べ散らかし、空いた皿もほったらかしで
「なんかテーブル狭いね~」
とか言っている。
それどころか
「もうお酒がないんですけど~」
と背中越しに私に催促する始末。
そうやって私は休日のたびにダンナが連れてくる不躾な客たち+ダンナをたった一人でもてなしていた。
でもそんな状態が長く続くはずもなく…
ある週末、疲れきってすべてが馬鹿らしくなってしまった私は
「明日、○○たちが来るからよろしくね」
と当然のようにのたまうダンナにとうとうブチキレた。
「じゃあ今度は自分がもてなして。自分の友達でしょ?じゃあ自分でもてなして。私は出かけるから」
思いっきり冷淡に言い放つ私。
私の豹変ぶりにビックリしたダンナ。
「・・え、なに、どうしたの?」
「今言ったとおりだよ。自分でやれっての」
「なんでだよ!」
「つまんねーんだよ!!!」(ブチキレると言葉が悪くなるw)
「・・!」
「あんたらが飲んで食って楽しく騒いでる間、私がいったいどこで何してるかわかってんのか!
あんたらのためにずーーーーーーーーーーーっと台所に立ってんだよ!
あんたらが当然のように食ってる料理はぜーーーーーーんぶ私が作ってんだよ!
アァ?!わかってんのかオルァ!!!!」
「え・・・・そりゃまあそうだけど、俺はおまえも一緒に楽しんでるもんだと思ってたんだけど・・」
「楽しいわけねーだろが!休みのたんびにあんたの友達にまで家政婦扱いされてんだぞこっちは!
つまんねーことこの上ないよ!もー知らね!自分でなんとかしろ!つーかもうあんなやつら家に連れてくんな!!」
(カチンときたのか)「なんだよ、その言い方・・」
「あんたの大事なオトモダチは食べるときにいただきますも言わないじゃん!
帰るときもごちそう様でした、お邪魔しましたの一言もない。
なんなの?社会人としてちょっとおかしくない?
目の前に一生懸命もてなした人間(私)がいるのにまるで無視。私は空気か!
それともあんたが友人らにそうしろとでも言ったのかよ?!」
(私、テーブルの上にあったダンナのノードパソコンを思い切り叩き落とす。派手な音を立てて大破)
「・・・・・そっそんな・・」
(床に落ちてるパソコンを足でガシガシ踏みつけながら)
「バッカみたい!ほんとバッカみたい!もうやめた!くだらない!
私に文句があるなら離婚だ、離婚!いつでも判押してやるからさっさと緑の紙持ってこい!!」
「・・・・わかったよ、ごめん。俺が悪かった・・」
それ以来、ダンナが客を家に連れてくることはほとんどなくなった。
私がボロクソにこきおろした友人たちとはまだ相変わらず付き合いは続いているようだけど、外で勝手に会うぶんにはどうでもいい。
興味なし。
たまに
「義兄が来たがってるんだけど・・」
と恐る恐る私にお伺いを立てるが
「ええ、いいわよ。もちろん手伝ってくれるんでしょ?」
とにこやかに言うと、そりゃもちろんっ!当然だよ!とこわばった顔で即答するダンナ。
ちょっと面白いw
いきなりキレる前にもっと冷静に話をすればよかったんだろうけど、でもまあそのおかげで一番の最短ルートで解決できたので良しとしてる。