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親友「金貸してくれ」俺「おk」→ 2度3度どころか4度5度と続き、俺(何か様子がおかしい…)→ 家を訪ねると…

小学校は6年間同じクラス。
中学では2年間同じクラス。
高校でも1年間は同じクラス。

行く大学も一緒で学部は違えど部活は同じ。

最高にうまのあう親友がいたんだよ。悪ぶってみせる癖があったけどな。気が優しくてちょっと臆病でいいやつだった。

大学でなんかさ、部活の後のダベりの最中に先輩だったかなあ、親友っている?って聞いてきた人がいてな。

14、5人はいたんだぜ、なのに俺達だけだったよ、いるって即答できたの。

聞かれた瞬間にお互いを指さしてさ。2人して笑ってたら周りまでいいなあとかさ。おまえら愛し合ってるだろとかからかわれたりさ。

揃って照れたっけなあ。

社会人になって4年目か、あいつが凄い暗い顔をして家に来た。たわいのない話したっけ。

その後で今人生の瀬戸際になってるからって借金を申し込まれた。あげるつもりで渡したさ。

2度3度ときても冷たくなんかしなかった。

就職とかってぶっちゃけ運もあるしさ。俺があいつの良い所わかってるからきっとなんとかなるってそう信じてたんだ。

あいつの良さがわからないやつが多いのが悪いって。他人ごとなのに腹立たしくも思ってた。

4度5度ときて、だんだん様子のおかしさが悪化してってるのが気がかりでさ、とうとう、心配になって家にいったんだよ。

すると…

扉の前に竹でつくった野暮ったい飾りが出てた。
アパートなのにさ、表札がなんか大理石っぽい石に刻まれたもんをわざわざ紙を差し込むタイプのやつを上からとりつけてた。わけわかんなくなったよ。
家に通してもらった後もっとびっくりしたわ。
あいつん家父祖の代から切支丹一家だったんでさ、十字架とかある分には気にもならなかったんだけど、十字架のさ下以外の棒あるだろ?
それに鈎つけたような変な飾りがところ狭しと壁にかけられてんだ。
なんか俺が小学生のころ工作でつくったようなかたちのわるい変な壷とかあるしさ、ひょっとして、もしかしてこいつ生活苦のあまり変な宗教につけこまれたんじゃあ。そんな疑念が浮かんできてさ。
手近な壷に触ろうとしたのよ。
「触るな!加護を奪う気か!」
凄い形相だったよ。
ケンカだって何度もした仲だけどさ、不貞腐れたりとかいろんな顔見せ合ったけどさ、殺しかねないってレベルの恫喝なんて経験なかったぜ。
加護亜依が来るわけねーだろって冗談言って誤魔化したけどさ、その後俺の一挙手一投足をじっとみてるんだよ。
こんなことあるんだな。俺が親友だと呼んでた奴はとっくに死んでたんだよ。

「加護があるんならなんで仕事みつかってないんだよ」
「今は試練の時。神が下さり給うた選ばれた人間に与えられる苦行の最中」
「その神様ってさ、選んだ人間の周りを不幸にしてまでそういうことすんのか」
「不幸だと思うやつは神に見放される」
「そっか…」
こんなやりとりであっけなく俺たちの友情は崩壊した。
俺は昔の住所録からあいつの両親に電話をかけて、あいつが変な宗教にはまってかなりやばい状況になってるって報告した。
赤の他人の俺じゃ助けてやれる範囲に限りがあるからって泣いて頼み込んだ。

カルト宗教被害支援団体がやってくるその日俺も見に行ったよ。悪魔とかさんざん悪態つかれちゃったぜ。
おまえが悪魔将軍だったのかとか言われてさ、助けようとしてる人を悪魔悪魔となじるんだよ。
オウムの時、俺はまだ小さかったけど、なんで人間があんなひどい事できるのかわかんなかった。催眠術とかはやってもどうせヤラセだろうと思ってた。
こんなことってあるんだな。
おまえらも気をつけろじゃあな。
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