X

幼馴染の様子がおかしい→調べてみるととんでもないことが…

俺には、小さい頃にずっと一緒に遊んでいた女の子がいた。

名前は、なぎさってことにする。

なぎさとは本当に仲良しで、何をするにも一緒だった。
同じ幼稚園に行き、ご飯も砂場で遊ぶのも工作するのも、なんでも一緒だった。

親から聞かされたから、本当にいつも一緒にいたんだと思う。
というか、俺にもその記憶はまぁまぁ残ってる。

そんなこんなで、毎日楽しい日々を過ごしていたであろう幼少時代。
まぁ、その頃は遊ぶことぐらいしか考えてなかったから楽しかったんだろうなぁ。

二人とも同じ小学校に進んで、クラスは違っても一緒に下校したり、
遊んだりやっぱりいっつも一緒にいた。

四年生ぐらいになると周りの奴が俺たちを見て、夫婦だと言ったり、
ラブラブだね!!とかって冷やかしたりしてきた。

その頃から俺は恥ずかしくなって
少しだけ距離を置くようになった。

まぁ、誰にでもある男女の違いを
感じ始めた年頃ってわけね。

昔は結婚しようね!とか
恥ずかしげもなく親の前で口にしていたなぁ。

でも、そんなことがずーっと続くわけもなく
五年生からは俺は男友達とよく遊ぶようになったし
あまりなぎさとは顔をあわせなくなった。

あった時も、おー元気ー?(笑)
みたいな感じだった。

そんな感じで中学校に上がると
なぎさとはさらに話さなくなった。
なんであそこまで喋らなくなったのか?と
今更ながら考える。

でも、俺は昔からずっと

なぎさのことが好きだった。

好きだってずっと思っていたけど
そんな簡単に思いを告げられるわけなく
告げる気もなかったので
平凡な中学生をして過ごした

中学二年生の時
休み時間に制服のまま、
グラウンドでキックベースをして
泥だらけになったから
保健室に着替えをもらいにいった。

保健室に入ると、なぎさがいた。

俺:「ほぅ、久しいのお嬢」

なぎさ:「なーに?その喋り方」

俺:「気にすんな。ってか、どったの?」

なぎさ:「別にー 俺こそ何してんの?」

俺:「下級生に俺の勇姿を見せたら制服が犠牲になった」

なぎさ:「あんた相変わらず馬鹿ねぇ」

俺:「待て、そんなこと言うと泣くぞ」

みたいな会話をしたのを覚えてる。
なんで保健室にいたのかの理由も答えてもらえなかったし。

その時は別に不審とも思わなかったし
なにより俺は早く学校のシャワーを借りたかった。

ちゃちゃっとシャワーを浴びてから
保健室に戻るとなぎさはぼーっと窓からグラウンドを眺めていた。

俺:「運動音痴のお前が外見てどうした」

なぎさ:「殴るよ?」

俺:「すみません!」

みたいなやり取りをして
横で一緒に外を眺めてた。

なぎさ:「ねぇ昔は、俺はずっと私と居たよね」

俺:「そうね」

なぎさ:「最近はあんまり二人ではいないよね」

俺:「まぁ冷やかされるしね」

なぎさ:「ほんと、ああいうこと言う奴ら嫌い」

いかにも不満そうな顔をしてた。
中学生にもなって「お前ら結婚すんの?」
とか言われたら誰だって嫌気が差すだろう。

そんなことを話してたら休み時間が終わった。
で、なぜか俺だけ保健室の先生に帰らされた。

「戻らんの?」って聞いたら
「めんどい、サボる」って言ってそのまま
ベッドの中に埋まって行った。

俺:「馬鹿に拍車がかかるぞ?」

なぎさ:「帰れ」

と、言われたので教室に戻った。

それから数日が経った時
怪我したんだだったかなんかで保健室に行ったらまたなぎさが居た。

俺:「お前、よくここいるのね」

なぎさ:「まぁね」

みたいな会話をして俺は保健室をでた。
なんか変だなぁとは思ったけど
そこまで気にしてなかった。
今思えば、なんであの時気づかなかったのか
自分の情けなさに泣けてきます。

それから数週間たった時
家でくつろいでたら、オカンから…
「なぎさちゃん、保健室登校なんだってね」
と、唐突に言われた。
俺は素で「は?」と答えた。

オカンの話だと
なぎさは中2になってすぐに保健室登校になったらしい。
理由は知らないが教室に行きづらいらしい。
というものだった。
なぎさのお母様本人から聞いたらしいので
間違った情報ではないらしい。

「あんた、なんも知らんの?」
って聞かれたけどまったくわからなかった。
というより、なんでそんなことになってるのか
俺自身の頭がついていかなかった。

次の日、学校に行って真っ直ぐに保健室へ向かった。
俺が着いてから、十分後ぐらいに保健室のドアが開いた。
入ってきたのはなぎさだった。

なぎさ:「あれ?なんで俺がここにいんの?」

俺:「お前、保健室登校なんだってな」

そう言った瞬間、なぎさはちょっとびっくりしてた。

なぎさ:「誰に聞いたの?」

俺:「オカンから聞いた」

「あーそれじゃうちのお母さんが言ったのかぁ」
って言ってため息をついてた。

俺:「なんでだ?」

なぎさ:「なんでって、まぁ、いろいろとね、、、」

そう言ったなぎさの表情は苦笑いみたいな感じで
いかにも誤魔化そうとしていた。

俺は、理由を話してくれなかったことが
ショックだった。

あ、スペックとか書いてなかったんで
今書きますね!
話ぶった切ってごめんなさい!

スペック(当時)


身長 165cm 59kg
顔 劣化版高橋大輔
趣味 二次元全般

なぎさ
身長 155ぐらい 体重は知りません(笑)
顔 戸松遥の顔を少しいじった感じ
胸 見た感じBだった気がする

なぎさな会ったことで、保健室登校っていうのは確認できたから俺は教室に戻った。

授業が終わって、休み時間。
なぎさの教室に足を運んだ。
教室では女子が数人話しているだけで
他の人はみんな外や他の教室に遊びにいってた。
別にこれといった手がかりも掴めず、
自分の教室に戻った。

俺の中ではなんでなぎさが保健室登校なのか
っていう疑問がずーっと消えなかった。

なぎさの問題を知って以来
俺は暇な時間には保健室に行くようになった。

なぎさ:「俺も暇だねぇ」

俺:「うるせぇよ。お前に言われたくねぇよ」

なぎさ:「私は別に暇じゃないもん」

俺:「なら授業でたら」

なぎさ:「またそれー? もうそのネタ飽きたぁ」

俺:「現実逃避甚だしいなお前!」

なぎさ:「きーこーえーなーいー!!」

保健室での俺たちにやり取りは
小さかった頃みたいな感じだった。
小さいことで笑い、話題なんかいくらでも出てくる。
それが楽しかった。

なぎさの保健室登校を知ってから
特に何も行動せず、保健室のにいって2人で話をする機会が増えた。
気になるのは気になるが
本人が喋らないなら無理に知ろうと思わなかった。

ある日、HRの時間にアンケートが配られた。
アンケート内容は、いじめに感してのことだった。
俺は確か適当に丸をつけて出した。
クラスにいじめなんて無かったし
自分の学校にあるなんて思ってなかった。

そのアンケートが実施されて数日後
用事で職員室に行くと、職員室の隅にある
個別指導室の中から罵声が飛んできた

「だから!うちのクラスにいじめはないです!」

たぶんどこかの担任教師が
今回のアンケートで、問題になったんだなぁ
とか思ってた。

そこから出てきたのは、
なぎさの担任教師だった。

なぎさの担任が出て行った後
個別指導室に入ると校長がいた。

俺:「あの、、、」

校長:「あぁ、びっくりさせたかな?」

俺:「今の先生って、○組の担任の先生ですよね?」

校長:「そうだよ?」

俺:「あの先生のクラスっていじめ、あるんですか?」

少し困った顔をした校長は
すぐに笑顔になり、君は心配しなくていい。
と言われた。

保健室に滑り込んで、なぎさに詰め寄った。
めっちゃ驚いた顔してた気がする。

俺:「お前のクラス、いじめあるのか?」

単刀直入というか、もう自分が馬鹿なんじゃないか
と思うぐらいのがっつき方だった。

なぎさ:「いじめ? なにそれ?」

俺:「へ?」

なぎさ:「私、知らないんだけど」

俺:「うそんっ」

なぎさ:「なに焦ってんの? ばっかみたい」

そう言って、おかしそうに笑われた。
俺はてっきりいじめられているのはなぎさだと思っていた。
否定されて安堵したが、反面少し疑っていた。
なぎさは昔から辛い時も泣くのを我慢するような子だった。

バカ笑いしてるなぎさを見ていたら
こっちまでおかしくなって吹き出した。

なぎさ:「あんたは、人の心配する前にテスト勉強でもやってなさいよ」

俺:「やかましっ! 保健室で永眠しとれ!」

そんな風に言い合って、笑って、疲れて。
授業が始まってたので、急いで俺は教室に戻った。

自分の中で、もやもやしていた気持ちを
どうにかしたいと思って
学校中の人気者のやつのところに
てこてこと寄って行った。
まぁ、学校に1人や2人いるじゃん?
なんか顔がめっちゃ広い人。

ここでは、変態と名付けましょう。
(行動が変態っぽかったから)

俺:「よー」

変態:「あれー?俺じゃん? どったのー?」

俺:「いやぁ、相談があって」

変態:「お前が俺に?? ぶはははははは」

なぜか爆笑し始める変態。
俺の顔を見ると絶対に笑い出す奴だった。

変態:「あー、おもしれ(笑) で?なに?」

俺:「お前、○組のいじめがあるっていうの聞いたことない?」

変態:「いやぁ、タイムリーな話題もってくるねぇ」

そういって、また爆笑し始める。
マジでベランダから放り投げたかった。

変態:「まぁ、俺も最近よく聞くんだけど、本当かどうかは知らないんだよねぇ」

俺:「お前、つかえねぇな」

変態:「ひでぇwww」

俺:「で、それなんだけと調べてくれん?」

変態:「へ? またどーして?」

俺:「まぁ、ちょっと気になる事があって」

変態:「あー、なぎさちゃんのクラスだもんね」

くっっっっっそウザかった!!
こいつは本当にウザかった!
その通りであることが、すげぇと思った反面
くっっっっっそウザかった!

変態:「おkおk 他ならぬ俺さんの頼みならしゃーない」

俺:「え?マジでいいの?」

変態:「まぁちょっと時間ちょうだいねぇ」

俺:「いつでもいいから適当に教えてくれ」

変態:「まかせ、、、ぶはははははは!!」

今でもぶん殴ろうか考え中である。
この男だけは、マジで、真剣に、本気で!!

変態に頼んでから、三、四日後。

変態:「俺さーん、ほうこーく」

と、放課後に唐突に教室にやってきた。
というか、本当に調べれたのね。

変態:「○組にいじめがあるかどうかだけどまぁ、思いっきりありましたー」

俺:「軽いなお前っ!?」

変態:「いや、あんまりふざけてる場合じゃなさそうなんで」

俺:「?」

変態:「対象者は、なぎさちゃんでした」

正直、かなりショックでした。
やっぱり隠してたのもあるけの、なにより
いじめられてるのがなぎさだったことに。

変態:「聞いて回ってた時に、よく言われましたよー」

変態:「なぎさちゃんのクラスの女子からあの女には関わんないほうがいいよー☆って」

俺:「・・・」

ショック過ぎて、自分の席で固まって
何も言えませんでした。

変態:「さて、どーしましょう?」

変態は相変わらずニコニコしながら聞いてきた。

俺:「なんでそんなに笑ってんだよ!!」

変態の表情にイラっとして
つい、大きな声で怒鳴りました。

変態:「当たり前じゃないっすか。」

すると雰囲気が一変。

変態:「胸糞悪くてしかたねぇですし」

普段温厚な奴が、
本気で怒るとこうなるのかってぐらい怖かったです。

変態:「普段誰がなにしようが俺には関係ないけど」
変態:「頭悪いことしてるやつは嫌いっすね」

それだけ言うと、教室から出て行った。

俺は急いで、なぎさの教室に行った。
幸い、放課後で結構時間も経ってたので
クラス内には誰もいなかった。

なぎさの席がどこなのか知らなかったので
見つけないといけない。
そう思っていたら、一瞬で見つけることができた。

コンパスの針かなんかで机の上は
穴だらけのぼっこぼこ。
机の中には、紙くずやらゴミが散乱。
中の一枚を読んでみると。
しね。やらヤリマン!やら胸くそ悪い文章のオンパレード。

呆然とそれを眺めていると
前のドアから人が入ってきた。

「あ、あの女の子紐じゃん(笑)」

入ってきたのは
中学生のくせに、髪染めて、ピアス開けて
服装も見出しまくりの百合香ってやつだった。

百合香:「それ、ひどいよねー!」

ニヤニヤしながらこちら側に寄ってきて
なぎさの机に持ってたゴミを詰めて教室から出て行こうとした。
今すぐにでもぶん殴ってやろうと思った。

俺:「おい」

百合香:「あ?なに?」

俺:「これ、お前がやったのか?」

百合香:「はぁ? うちだけじゃないしー」

今でも、くっそムカつきます。
まず喋り方が、もう、なんか、あぁぁぁぁぁぁ!
ってなる。

百合香:「あ、もしかして怒っちゃってる?」

ケタケタおかしそうに笑って
きっもーとか言ってた気がする。

俺:「お前、そんなことやってて恥ずかしくないの?」

百合香:「は? あんまり変なことばっかいうと先輩にあんたくらわしてもらうよ?」

百合香:「つーか、あんこそ恥ずかしくない?」

百合香:「なに正義感振りかざしてんの?キモッ」

もうブチ切れましたね。
殺してろうと思いました。
女一人ぶん殴るぐらい簡単に出来ましたが
それじゃ何の解決にもならない。

俺:「必ず後悔するぞ?」

それでも百合香は笑いながら、

百合香:「あたしの周りはみーんなこのこの知ってるけど絶手ェあの女の味方とかしねぇからー(笑)」

そういって出て行った百合香の後ろ姿をみて
単純に殺意を覚えました。

そこから教室を後にして、帰宅。
速攻なぎさに電話しました。

なぎさ:「俺? 電話なんて珍しいね?どしたの?」

俺:「いや、あのさ、お前俺に隠してることない?」

なぎさ:「んー? 特にないよー?」

俺:「嘘だろ」

なぎさ:「なんでそんなに怒ってんの?」

マジでわからないみたいな感じで
喋ってくるなぎさにこの時は少しいらっとした

俺:「なんでお前保健室登校なんだ?」

この質問をするのは二回目だった。

なぎさ:「だから、それはちょっといろいろ、、、」

俺:「お前はっ!いじめられてんじゃねぇのか!?」

本当にまぁ、デリカシーのカケラもない。
つーか、そんなん直接言われたら誰でも嫌なことぐらいわかるでしょうに。
でも、この時は頭に血が上ってわからなかったなぁ。

なぎさ:「・・・」

なぎさは黙ってしまった。
まぁ、普通黙るよね!

俺:「なんで、言ってくれなかったの?」

なぎさ:「・・・だって、俺にはバレたくなかったんだもん」

俺:「俺には?なんで?」

なぎさ:「だって、俺は絶対そんなんわかったらどうにかしようとするじゃん」

俺:「当たり前じゃろ」

なぎさ:「・・・俺には私がいじめられてるとか知ってほしくなかった」

ここらへんで多分なぎさは泣き出してしまった。
電話越しに泣いてるのを聞いてると
何もできない自分の無力感が半端なかった。

俺:「でも、言ってくれたらなんかでき、、、」

なぎさ:「俺にいじめられっ子って見られることが嫌だったんだもん!!」

あの時の悲痛の叫びというか
本当に辛くて、毎日必至で我慢してたのがわかりました。
だから、そんななぎさを見てるのも
聞くのも辛くて俺はとっさに言いました。

俺:「必ずなんとかするから」

なぎさ:「・・・へ?」

泣ながら、ふへっみたいな感じで
聞き返されました。

俺:「お前がまた普通に学校に来られるようになんとかするから」

根拠も自身もありませんでしたが
なぎさのことを思うといてもたってもいられませんでした。

なぎさ:「・・・ぅぅん いいの」

俺:「何が?」

なぎさ:「もしどうにかなった時、いじめられる対象が他の人になったら私嫌だもん」

グスグス泣きながらそんなことを言ってたと思う。

なぎさは自分の心配をよそに、他の人のことまで考えていた。
自分であったいじめの対象が他の人に行くのが嫌だと。

なぎさ:「だから、なにもしなくていいよ」

そういってへへっと笑った。

なぎさ:「俺が私のこと気づいてくれたことだけで頑張れるから」

なぎさ:「だから、大丈夫だよ」

俺:「そんなこと知ったことではありません」

半沢直樹じゃないよ?
本当にいったんだからね?疑わないでね?

なぎさ:「・・ぇ」

俺:「お前なんか勘違いしてるやろ?」

俺:「なんとかするっていうのは、いじめをやめさせるってことよ?」

俺:「そこにお前が偶然いじめられてただけで、誰だろうといじめはやめさせるで?」

内心、大嘘。
なぎさがいじめられてなかったらそんな必死にいじめをどうにかしようとか思わない。

少しの間、無言が続いた。
そして、その後、

なぎさが笑いだした。

なぎさ:「あはは。相変わらず俺は馬鹿だねぇ」

俺:「なぬ!?」

なぎさ:「昔っからなんか理由つけて私のこと助けようとしてくれる」

俺:「まぁな!」

なぎさ:「ま、してくれるだけで、助かったのはほとんど無いけどねっ!」

俺:「上げて落とすなよ!」

なんかおかしくて笑った。
久しぶりに聞いたなぎさの本当の笑い声はなんか新鮮だった。

なぎさ:「来年は一緒のクラスになりたい」

俺:「まかせろ。ちゃんとクラスに来れるようにしてやる」

なぎさ:「うん まってる」

少し雑談した後電話を切った。
なぎさの前では大見得切ったけど
いざ、どうすればいいのか。
まーったくわかりませんでしたね(笑)

変態:「俺さーん」

なぎさのことをどうしようか考えていたところに
変態がやってきた!

変態:「○組潰しましょー!!」

俺:「物騒やな、お前!」

変態:「いやぁ、まぁあの後もいろいろしらべてみたら主犯格のやつらがわかったんで」

俺:「百合香だろ?」

変態:「おー、さすが! それにプラス紗希と明里と麻衣ですねー」

女子のいじめは陰湿なもんで、基本的に固まらないと何もできない。

俺:「つーか、あれ? お前紗希って子と付き合ってなかったっけ?」

変態は変態のくせに変態的にモテるのです。
あー、うまやらしぃ!

変態:「そうっすよー」

俺:「えー」

変態:「まぁそこは心配せんでください」

俺:「いじめてるやつと付き合ってるやつと供託すんのは、、、」

変態:「なに言ってんすか。俺と付き合って、やっちゃいけないことをしてるんすよ? それを教えてやるのが彼氏ってもんでしょ?」

不覚にも俺は変態に惚れた。

俺:「惚れた」

変態:「あ、パスで!」

俺:「Σ(゚□゚`)」

変態:「とりあえず、動きますかー」

そういって、なにやら準備するものがあるから
スタコラサッサと帰っていった。

俺はとりあえずなぎさの担任に話を聞こうと職員室に乗り込んだ。
○組の先生に話があるというと、個別指導室に通された。

先生:「それて、話ってなぁに?」

なぎさの担任はまだ新米の若い女教師で
誰からも好かれそうな感じでニコニコしていた。
俺は裏がありそうでその先生があんまり好かなかった。

俺:「まぁ、単刀直入でお聞きします。なぎさがいじめられてるのはご存知ですよね?」

先生:「え?」

俺:「しらばっくれんでくださいです。」

それでもお面でも被ってんのかってぐらい
ニコニコしながら答えてくる。

先生:「うちのクラスにいじめはありませんよ?」

俺:「そんなわけないでしょ。なぎさの机どうなってるかぐらい知ってるでしょ」

先生:「普通の机よ?」

俺:「は?」

先生:「なんなら見てきたら?」

俺:「・・・失礼します」

職員室を飛び出し、なぎさの教室へ。
なぎさの机をみると、変えられていた。
他の人同様に普通の机になっていた。
また急いで職員室までもどる。

先生:「どうでしたか?」

俺:「普通でした。でも、昨日までは穴だらけでゴミ突っ込まれてたのに!」

先生:「そんなことはありませんよ? 前からずっとあの通りですよ?」

ここで俺は返す言葉が無くなった。
というか、その先生には何を言っても無駄そうだった。

大人しく職員室を後にして
これからどうするかを考えた。
といっても、なにも思い浮かばなかった。

「よっ!」

帰ろうと昇降棟で靴を履き替えてたら
後ろから肩を叩かれた。
なぎさだった。

なぎさ:「大丈夫?」

俺:「いや、なんもしてないぞ、まだ」

なぎさ:「いや、まぁ無理はせんでよ?」

俺:「自分に言っとけ」

なぎさ:「(・3・)」

俺:「その顔うぜぇ!」

久しぶりに登下校を一緒にした。
本当にあの時は楽しかった。

なぎさ:「あ、俺ってさ、好きな人いるの?」

俺:「好きな人? いない」

なぎさ:「えーおもしろくなーい」

俺:「やかましっ! そのうち作るわいね!」

なぎさ:「そん時は報告してねー」

俺:「なぜっ!?」

なぎさ:「えーだって気になるじゃん」

俺:「まぁ、できた時ね」

とかなんとか話しながら帰宅。
辛いのを一生懸命我慢して頑張ってるんだなぁと思ったら
はやくどうにかしたかった。

次の日。

変態:「なぎさちゃんを教室へ行かせてー」

俺:「はぃ?」

唐突に変態からの提案。

変態:「いじめってのは本人いないと証拠あんまりでてこないからさぁ」

というわけで、なぎさを教室へ行かせようと思ったが、そんなに甘くない!

なぎさ:「いやっ!」

ですよねー。拒否られました。

俺:「どーしても嫌?」

なぎさ:「いやだっ!」

行けというのも辛いのですが
変態がどうしても行かせろというので
がんばって説得。

俺:「一回だけでいいから!お願い!」

なぎさは何回も拒否したのですが、
最終的に根負けして嫌になったら逃げていい
という条件で承諾。

それを変態に報告。

変態:「さすが、夫婦と呼ばれるだけありますねー(笑)」

俺:「泣かされてぇのかΣ(゚□゚`)」

変態:「嫌です! とりあえず、これでたぶんいけます」

そして、なぎさが教室へ行く日と被せて
そこからどうして行くかを話し合い。
とりあえず、唯一信頼できる俺の元担任のところへ。

俺:「康子ー」
康子:「誰が康子やっ!」

俺:「康子先生でした。 あの、お話があるんですけど」
康子:「あんたがあたしにお話とは珍しい」

俺:「○組にいじめがあるのご存知ですか?」
康子:「え? ごめん、あたしあのクラス担当してないから知らんのんよ」

俺:「あるんですよ、いじめ」

大雑把に内容を説明する。
で、これからの予定を伝える。

俺:「ってことやるんですけど可能ですか?」
康子:「それあたしがやるの?」

俺:「ダメですか?」
康子:「ううん。任せなさい」

先生は笑顔で引き受けてくれた。
この先生だけは本当に熱心に
生徒に働きかけてくれていた。

本当にいい人でした。

康子:「あんたも大変やねぇ」

俺:「俺ですか?」

康子:「好きな子のために頑張るのはいいけどね」

好きな子。
夫婦とかは言われたことあるけど
好きな子と、言われたのは初めてだった。

俺:「やっぱり俺好きなんだと思いますか?」
康子:「違うの?」

俺:「さー、どーでしょ」

たぶん、俺はずっとなぎさのことが
好きだったんだなぁと納得したのはこの時でした。

なぎさを教室にいかせる日になり
その時は確か、三時間目のお昼休み前の時間。
実際どんな風にいじめられてるのか、
それを知るために授業をサボり
ベランダからなぎさの教室をこっそり覗いていました。
(うちの学校は、ベランダに境がなく全て繋がっているタイプでした。)

授業が始まる少し前になぎさが教室に。
それを見たクラスメイト達は一瞬時が止まったように固まりました。
しかし、すぐに百合香がなぎさに向かって

「あれぇ、なんか来たんだけどー(笑)」

みたいな感じでなぎさにふっかけました。
マジであの女をぶっ殺そう!
と、思いましたが、ここで出て行っては何の意味もないと、我慢。

この時のなぎさの表情は本当に痛々しく、
見ているこっちが辛かったです。

必死に嫌なことに耐え、居心地の悪い場所に
とどまり続けることは本当にキツいことなんだと
心の中でずっと謝り続けました。

やがて授業が始まりました。

最初、見ているうちは特に何事もなかったのですが、開始十分後ぐら
いから異変に気付きました。

なぎさが教科書を一ページも開かないのです。
ずっと机の上を凝視し、ほとんど動かない。
ノートも開きませんでした。

その時の担当の先生は国語の教師であり
同時になぎさの担任でもありました。

その先生は、文章を席順で読ませて行くシステムをとっており、なぎさの番に。

先生:「なぎささん、続きお願いします」

指名され、こちらには聞き取れない声で
たぶん、はぃ。と言って教科書を開きました。

窓から見えた教科書は、ページ丸々、黒のマジックで塗りつぶされていました。

斜め後ろに座っている百合香は
ニヤニヤと笑いながらなぎさのことを見ていました。

なぎさ:「読めません、、、」

と言ったようで先生は、

先生:「ちゃんと教科書は持ってきましょうね」

とかわけのわからないことを言っていた。
見れば、教科書を持ってきていることぐらいわかる。
なのに、それを気にする様子もなく次の人へ。
本当に腹が立ちました。

グルになっていたほかの三人も
なぎさのことを見て、笑っていました。

なぎさの泣きそうな表情をみていると
胸が締め付けられて吐きそうでした。

授業の間じゅう、百合香達はなぎさに
消しカスを投げたり、紙くずに暴言を書き
なぎさに回したりしていました。
乱入したい気持ちを必死に抑えて、
最後まで授業を見ていました。

授業が終わった瞬間、
なぎさは立ち上がりすぐに教室を出て行きました。
それを追って、俺はベランダからなぎさのところへ行きました。

なぎさは学校裏の小さな花壇のところへ座り込んでいました。
それを見つけて、俺は近づきました。

なぎさ:「あはは、やっぱりキツイね」
俺:「・・・」

その表情が痛々しすぎて何も言えませんでした。

なぎさ:「私って、そんなに嫌なことしたのかな?」
なぎさ:「私、なんでいじめられてるのかな?」

そう言って、ついに泣き出してしまいました。
なぎさの泣く姿を見たのは幼い頃ぶりのことで
俺はどうしていいかわからず、突っ立っていました。

なぎさ:「つらいよ・・・」

自分がいかに無力か。

なぎさ:「もう嫌だよ・・・」

自分がいかに恵まれているか。

なぎさ:「・・・もう・・・・・・死にたいよ」

だからもう、抱きしめることしかできませんでした。
思いっきり抱きしめて、震えているなぎさを
止めようとすることしかできませんでした。
俺の腕の中で、小さく震えながら嗚咽を漏らす
渚の姿を見て、本当に泣きたくなりました。

俺:「ごめんな。 辛かったよな」
俺:「嫌だったよな」

泣き続けるなぎさは、俺の背中を必死に掴んで
胸に顔をうずめて泣いているのを
必死に隠そうとしていました。

俺:「いままで、辛かったよな」
俺:「耐えてくれてありがとう。 もう大丈夫だから」
俺:「だから、泣かないで」

そっと頭に手を乗せました。

少しだけ震えが止まり、
胸から顔を話して上を向きました。
涙でいっぱい濡れているなぎさの顔は今でもはっきりと覚えています。

なぎさ:「・・・っ!」

すぐに顔が歪み、また泣きそうになりました。
だから、思いっきり引き寄せてキスしました。
唇は涙で濡れていて、少ししょっぱかったです。

なぎさもビックリしたようで、背中に回していた手が
ビクッと硬直しました。

なぎさの唇から自分の唇を離した瞬間。

「いい雰囲気のところすんませーん」

背後一メートル以内に変態が立っていた。

変態:「いやぁ、いいもの見せてもらいました」

のちに聞いた話だと、
俺のいきなりのキスにビックリしたのではなく
上を向いたら背後にいた変態にビックリしたのだそう。なぎさ談。
変態UZEEEEEEEEEEE!!

変態:「俺さん、いちゃつくのは後でいくらでもやってください」
俺:「・・・」

変態:「そんな不機嫌な顔せんで、さっさと終わらしてしまいましょうよー」
俺:「そうですねっ!」

なぎさの頭を軽く撫でてから立ち上がる。

変態:「こっちの準備はできました」
俺:「は? こっち?」

変態:「そうです。 理由もなくなぎさちゃんを動物園の檻の中につっこますわけないですやん」

なにをしていたのか俺はまったく知りませんでした。

変態:「まぁ、いじめがどれだけいけないことがわからせてやりますよ」

ただ純粋に、恐ろしい子だった。

で、変態の組んだ作戦、その一。

変態:「まぁ、とりあえずは校長から行きましょうか」
俺:「えらい軽々しくいいますね」
変態:「まぁ、校長はたぶん知ってると思いますけどね」

スタスタと歩いていく変態についていく。
ちなみになぎさは保健室に送り届けてきた。

俺:「俺のファーストキスを・・・」
変態:「男のファーストキスなんてゴミの価値にもなりませんよー」
俺:「お前、それ俺に対するいじめだからな?」
変態:「なに言ってすか! いじめじゃなく罵倒です」
俺:「よし喧嘩だ」

そんなくだらんやりとりをやってる間に
校長室到着・・・

変態:「失礼しまーす」

校長:「お、変態君じゃないか」
変態:「どもです!」

校長:「私に何か用事ですか?」
変態:「簡単に申しますと、○組のいじめの事です」

この瞬間、校長の顔がハッとした。

変態:「ご存知ですよね?」

ここで、校長ら身を乗り出してきた。

校長:「いじめがあるとは聞いていました。
しかし、担任が無いと言い張るのでどうにか動こうとは考えていたのですが」
変態:「本来ならもう少し早く動いていただきたかったですね」

この変態、ずいぶんと上からである。
変態はバックからノートパソコンを取り出すと
その場で立ち上げ、画面を校長の方へ。

校長:「これは?」

変態:「○組の授業風景です。 もちろんなぎささんには出席してもらいました」

そこにはさっきの教室での出来事が写っていた。
画面的に教室の左後ろの上から撮ったものだった。

俺:「まて、いつ仕掛けた?」
変態:「まぁちょろっと入ってちょろっと仕掛けました」

俺:「まったく説明になってないんだが?」
変態:「そんなことはどうでもよろし!」

その間も校長は画面を食い入るように見つめていた。
ただひたすらに、真剣な表情で。

重要な場所をピックアップした動画を見せ
変態はノートパソコンを閉じた。

変態:「以上が○組のいじめの現状です」
校長:「・・・」

変態:「こちらからどうこう言うつもりはありません。あとは校長ご自身にお任せします」

それだけ言うと変態はさっさと校長室を出て行った。
俺は黙ってそれに続く。

変態:「俺さん、思った以上になにもしませんね」

俺:「お前の考えてることを全て話せっ!
お前の行動予測とか普通できねぇんだよ!」

変態:「まだ俺さんの出番じゃないですからね。
モブキャラでも仕方ないですね」

俺:「いちいち俺を蔑むのやめてくんない?!」

変態:「さて、次行きますよー」

続いて向かったのは、康子先生のところ。
まぁ、この人にはちょっとしたお願いがあったので。
同じように動画を見せてから、軽く現状報告。

変態:「ってな感じなんでお任せしますね」

康子:「・・・ごめんね」

俺と変態は二人で黙って康子先生を見た。
とても悲しそうな顔をしていた。

康子:「こういうのは私たち教師が動かないといけないのに」

俺:「動いてもらいますよ?」

康子:「そうね。今は解決することだけを考えるわ!」

そう言って、ももをパンっと叩いてこっちを見据えてくる。

俺:「この間、お願いしたこと、よろしくお願いします」

康子:「ええ、任せなさい!」

それだけ伝え終わると職員室をでた。

変態:「さて、作戦その二も終わりましたし、
最後の方の大詰めは明日にしますか!」

俺:「そうね」

もう授業が始まる時間だったので
そのままの足で変態は自身の教室に帰って行った。

俺はなぎさが心配だったので保健室へ。

保健室へ行くと先生が「なぎささん?」と
聞いてきたので頷くとカーテンで仕切られた
ベッドを指差した。
「泣きながら寝ちゃったわ」と言って優しく微笑んでいた。

カーテンを開けて中に入ると
なぎさは枕をぎゅっと握って
まだ涙の残る目元で、寝ていた。
時々フルフルと震えていたけど
寒いのか、怖かったのかわからなかった。

なんだかとても愛おしくなって
なぎさの頭をそっと撫で続けた。

何回も何回も撫でていたような気がします。
撫で続けていると、不意にキュッと
さっきまで枕を掴んでいた手で
俺の手を握っていました。

手の位置を変えて、掴みやすいようにしてやると
軽くにぎにぎしてきたので、
こっちもにぎにぎし返してやりました。

少しするとスーッという寝息が聞こえてきた。
いっぱい辛いことに向かって行ったから
ずっと怖かったし、疲れたんだなぁと思い
しばらくの間握り続けていました。
保健室の先生も見て無ぬふりをしてくれ
その時間はなぎさの隣で過ごしました。

こいつだけは、助けてやろうと心から思いました。

保健室でなぎさの手を握ってたら
なぜか俺も爆睡していました。
頬にペシペシ叩かれる感覚で目が覚めた。

なぎさ:「おーい、なんで俺が寝てんの〜?」

俺:「んんんー」

なぎさ:「もしもーし、俺さーん」

俺:「・・・おー、起きたの?」

なぎさ:「いや、俺の方ががっつり寝てたよ?」

俺:「・・・おー、すまん」

なぎさは優しく笑いながら
俺の頭をポンポンしてきた。

なぎさ:「ごめんね。疲れちゃうよね」

なぎさ:「いっぱい頑張ってくれてありがとう」

俺:「まだなんもしてないぞ」

なぎさ:「ううん。 私の為にここまでやってくれる人は俺以外にいないよ」

ふふっと笑ったなぎさに
あー、やっぱり可愛いなぁと思った。

俺:「なぁ、キスしていい?」

なぎさ:「・・・へっ!?」

俺:「ダメっすか?」

なぎさ:「なんで、改まるのよ!」

布団を寄せてもぞもぞしているなぎさ。
超絶かわうぃぃぃぃぃぃぃ!

なぎさ:「んっ! いいよ!」

何か決心をしたように目を開く。
と思ったら胸ぐら掴まれて
思いっきり引っ張られる。

で、思いっきりキス。

なんか、俺の思ってたのと違った。

俺:「なんで思いっきり引っ張るんですか!」

なぎさ:「だって、恥ずかしいんだもん」

顔をマジで真っ赤にして
布団をバサバサ振り回して暴れる。
なんやかんや、なぎさは元気そうだった。

俺:「お前さぁ、好きな人いるの?」

なぎさ:「いるよ」

即答された。

俺:「好きです」

なぎさ:「私もです」

初めの告白。
なんか物語みたいにはならなかったけど
それでも伝えられたことが嬉しかった。

それでも、付き合ってくださいとは
言わずに俺は保健室から出て行った。

授業に戻り、それから、放課後。
好きだって伝えたことにふわふわしながら帰宅した。
夢みたいに思って、なんかよくわからないテンションになっていた。

次の日…


変態:「さて、それでは終わらしに参りましょう」

俺:「お、おう」

最後の作戦。

変態:「まずはなぎさちゃんにはこの間同様に教室に行ってください」

なぎさ:「・・・うん」

変態:「あ、大丈夫ですよー。嫌なことが起こる前に終わらせるんで」

ニコニコ笑いながらなぎさに話しかける。
見てたら安心するような笑顔なので
なぎさも少しは安心しているようだ。

変態:「俺さん、後半は俺さんに任せます」

俺:「おう」

変態:「では、終わらせますかー」

かるーいノリでなぎさの教室までやってくる。
中は授業中で、その時もなぎさの担任の授業だった。

後ろのドアからなぎさが教室に入っていく。
それを俺と変態は廊下の曲がり角から見届ける。
少し経ってから、教室にに近づき中の様子を伺う。

相変わらず、百合香とその他三人はなぎさを見てニヤニヤしていた。

変態:「相変わらずぶっさいくな笑い方ですねぇ」

百合香達を見ながら変態がボソッととつぶやく。
相当お気に召さないらしかった。

なぎさの机の上にあった教科書に
百合香が手を出そうとした瞬間。

変態:「行きます」

それと同時に2人で前のドアから突撃した。

バンッ!
変態が勢いつけすぎて、ものっそい音が廊下に響いた。
クラスは何事かと音のした方向を見ると俺たちが立っている。

変態:「どーも、ちょいとお邪魔しますよー」

先生:「あなた達、今は授業中よ?」

担任は少し怒った様子で俺たちの方へ寄ってくる。

変態:「授業? これ授業なんすか?」
先生:「はい?」

先生は意味がわからないという風に
小首を傾げていた。

変態:「見てる限り、動物園の飼育小屋にしかみえませんけどねぇ〜(笑)」
先生:「変態君、言っていいことと悪いことの区別ぐらいつかないの?」
変態君:「あんまりふざけた事ばっかり言うなよ新米」

出た。雰囲気一変。
変態の周りの空気が凍った。
先生すら、黙ってしまった。

変態がiPhoneだったかスマホだったか
それにコードをつけたものを、
クラスの据え置きのテレビに繋ぎ始める。

テレビ画面に映し出された映像は
昨日の授業風景の模様でした。
なぎさの教科書が真っ黒なことや
百合香達が消しカスを投げている様子などが
写っていました。

変態:「百合香ちゃん、これなんかわかるよねぇ?」
百合香:「はぁ? 知らんしー(笑)」

変態:「これやから動物園の飼育小屋だって言ってんだよ」
百合香の顔をムスッとした表情に変わる
変態:「知能の足らん猿が調子乗るなよ」

ドスの効いた声。
聞いてる側は本気で怖い。

変態:「ええか? お前らこれがどういうことがわかるか?」
百合香:「なに? いじめとか言うつもり?」

余裕ぶっこいている百合香に鼻で笑うと
変態が俺に目配せしてきた。

俺:「いじめじゃねぇよ」

ここからは俺の番だった。

百合香:「いじめじゃないって認めてんじゃん!」

そう言うとケタケタ笑出す。
本当にムカつく女でございました。

俺:「いじめなんてねぇよ。
お前らがやってんのはただの犯罪だからな」

百合香:「なに大げさなことゆってんのー(笑)
マジ正義感ぶって笑かすわぁ(笑)」

百合香:「つーか、それ見せただけであんたなに言ってんの?
投げ合ってたのはこいつにぶつけるためじゃなくて、
遊んでただけだっての」

俺:「そんな言い訳が通用すると思うなよ?
教科書を塗りつぶしたのも、
なぎさの物をとって隠したのもぜんぶお前がやったんだろ」

百合香:「しらなーい(笑) 証拠見せてよ証拠!」

このクラスにあの女の味方をするやつはいない。
完全にボスは自分だと百合香は思っていた。
だからこその、怠慢、豪語、余裕。

そんなものは、変態の前ではまるで意味はない。

変態:「証拠も無しにこんなこと言うわけないでしょう」

テレビ画面の映像が変わる。
それはなぎさがまだ保健室登校になる前。
教室になぎさがいて、休憩中のなぎさの席だった。
そこになぎさは写っておらず
百合香、紗季、明里、麻衣の姿。
なぎさの机をコンパスで刺したり、
教科書に落書きしている真っ最中でした。

変態:「山猿のボスが従えてるのは、
同じ穴のムジナの山猿だけってことですよー」

百合香:「?!」

百合香の表情が凍りつく。
ありえない!とでもいいたげな表情。

変態の作戦の、概要。
それは、公開処刑だった。

俺:「いじめなんてことは、本来どこにも存在すらしてない。
いじめってのは、ただの犯罪だからな」

俺と変態の考えは次の通り。

いじめはただの犯罪。
子供だからまだ考えが追いつかず
犯罪だからないう認識のない犯罪。
人のものを取れば窃盗。
人のものを壊せば器物損壊。
人を傷つければ傷害。
それを裏返せばどこのだれもがいじめと言い換える。

ならば、表にかえしてやれば、犯罪なのだ。

俺:「世間一般で言われてるいじめはただの犯罪なんだよ」

百合香:「・・・」

俺:「お前が言ってることは、ただの言い訳。
ガキが怒られたくなくて、一生懸命言い訳してるだけなんだよ」

俺:「犯罪をつごうのいいように言い換えてるだけだ!」

クラスじゅうがシンっとなって黙りこくっている。

俺:「いじめるのなんて簡単だ。犯罪者になればいい」

俺:「それを笑ってるやってるお前らはただの犯罪者だってことを自覚しろ!」

変態:「俺さんの言う通りです。
言ってる意味、わかりますよね?」

変態がそう投げかけると百合香は
もうどうしていいかわからないように固まった。

先生:「ちょっと度が過ぎちゃっただけよね?」

いきなり担任が話し始める。

先生:「犯罪者はないでしょう? それを言われてる傷つくひとがいるのがわからない?」

いかにも正論です。
みたい感じで喋り始める。
それに対し、百合香が「そ、そうよ」みたいに同意する。
ここで、ついに変態が本気で追い詰める。

変態:「先生、いや、自己中。
お前、自分の発言の意味わかっていってるんやろな?」

先生:「・・・!」

変態:「わからんのか? お前も共犯じゃ言っとんのや」

変態:「お前はこのクラスの管理を任されとんで?」

変態:「それは、クラス全員を引っ張って行くのを任されとるってことや」

変態:「聞けば、なぎさちゃんが保健室登校になって
話し合いにも行かんかったらしいな?」

変態:「なんでや?」

言葉遣いもなにもない。
完全に切れた変態にはぐぅの音も出ない。

先生:「・・・」

変態:「答えれんのか? そりゃそうじゃろうよ」

教卓をぶっ叩いて変態が咆哮する。

変態:「お前は自分のクラスのめんどくさい部分は
全て見て見ぬ振りをして、逃げとるだけじゃもんなぁ!」

変態:「クラスのうちの一人がいじめられようと、私は関係無い!
このクラスは私のクラスだ!楽な方へ逃れて行けばいいって
思っとるからやろうが!」

先生:「うるさいっ!」

先生が吠えた。

先生:「社会も知らんガキが大人の仕事に口出すんじゃないの!!」
先生:「あんたの安っぽい考えで、人にものわ、いうのはやめなっ!!」

ボロカスに言われ続けて
ついに先生も切れ始める、
しかし、そこでも流石の変態。

変態:「そうじゃ。俺はまだガキじゃ。
じゃから、お前には俺じゃなくて、この人にぶちまけてもらうわ」

そう言って、前のドアの方を見る。

俺:「お願いします、康子先生」

前のドアから入ってきたのは康子先生だった。

康子:「今までのお話は聞きました」

先生:「!」

康子:「あなたは、教師ではありません」

先生:「はっ?! あんたみたいな教師にそんなこと言われる筋合いないわよ!」

康子:「教師は!!!! あなたのような人では決してありません!!!!」

康子先生が叫ぶ。
この日の言葉は重い。
それは長年の経験、学び、そういったものを
本気でやってきている人の言葉だった。

康子:「教師はいついかなる時でも、生徒のことを一番に考え、
自分の身を削ってでも生徒の日常を守る仕事です!」

康子:「勉強だけ教えるのも、いじめを見逃すのも、
全て教師の仕事ではありません!!!」

静まり返った教室は、康子先生の声がよく響いた。

康子:「教える師匠と書いて教師です!!
それはこれからの人生を歩んでいく次の者達に、
生きて行くことを教えて行く人間のことです!」

康子:「あなたのように自己保身だけを考えている人間は教師になる資格もない!」

ただ単純にすごいと思った。
この人は、話す時は話し、怒る時は怒る。
全て生徒の一人一人を思ってこその行動をとる。
そういう教師だった。

康子:「自分のクラスのいじめを見て見ぬ振りをするなら、
今すぐこの教室から去り、教師をやめなさい!」

康子:「教師っていうのは、新人だからミスしても許される会社や他の職業とは違うの!」

康子:「教壇に立てば、どんな人でも教師として働かなくてはならない。
新人でもベテランでも子供達に本気で寄り添って行かなくちゃいけない」

康子:「自分の手に負えないからその問題を無視するなら、
あなたは何のために教師になったの!
あなたを信頼している子供はどうしたらいいの!」

康子:「勉強を教えるだけなら塾の先生になればいい。
でも、学校の教師は勉強はもちろん、善悪の判断、
生きて行く力を身につけさせなければならない!」

康子:「教師は辛いし、キツい。お金も特別いいものじゃない。
それでも、自分がやりたいと思ったからここに立ったんじゃないんですか?」

康子先生の言葉に黙りこくる担任。
多分、誰でもこと人の言うことに反論できる教師はいないだろう。

康子:「生徒に嫌われるのはきついでしょう。
ならば、嫌われないようにクラスの権力者に媚びへつらうくらいなら、
やめてしまいなさいっ!」

本当の教師の本当の言葉。
それは、重たいものだった。
子供の時の俺ですら、重たいと感じた。

そこで、百合香達が騒ぎ始める。

百合香:「つーか、誰よっ! 裏切ったの!」

人でも殺しそうな目で周りを見つめる。
紗季も明里も麻衣も周りを見渡す。

裏切ったのは誰だと叫んでも
そんなんでてくるのわけないだろ。
と思っていたら。

男1:「俺だけど?」

えぇー、でてくるのかよ。
さすがにびっくりしましたね。

百合香:「は? あんたなにしてくれてんの?」

男1:「別にお前と協力してる気は無いし、俺の勝手だろ?」

百合香:「ちょ、あんた!」

変態:「おい、百合香。さっきも言ったよな?
ボス猿が従えてんのは同じムジナの猿だけだって」

百合香:「なにがよっ!」

変態:「」

ニヤッと無言で笑うと

変態:「この問題に協力してくれた人を教えてあげましょう!
はーい、じゃ手伝ってくれた人手ェあげてぇー!」

俺もは?ってなった。

いじめていた本人達が以外の全員が手を挙げた。

百合香:「・・・ぇ」

変態:「いつから自分がこのクラスをまとめてると
勘違いしていたのかは知らんが、これが現実です」

ついに百合香は泣き出してしまった。
そりゃ、こんだけ言われたら泣く・・・

変態:「お前が泣くなぁ!!!!!!!!」

変態の怒声が響き渡る。
鬼、完全なる鬼です。

変態:「お前の涙に価値があると思うなよ!
一番泣きたいのは なぎさちゃんなんじゃ!
お前が泣ける立場だと勘違いしてんじゃねぇぞ!」

変態:「泣くまえに謝罪の一つでも出来んのんかい!」

百合香:「・・・っ!!?」

もう追い詰め方が尋常じゃない。
マジで、変態には逆らわんと思った。

百合香はしぶしぶなぎさの席の前に行くと
ゆっくりと頭を下げた。

百合香:「・・・ごめんなさい」

悔しそうに、呟いた。
なぎさも複雑そうな顔をしていた。

変態:「今回、なぎさちゃんが大事には
したくないってことで法的措置をとろうとはしない」

変態:「だが忘れるな!
お前が行ったことはそれだけの罪の重みがあるんや!
よぅー覚えとけよ!」

それだけ言うと完全に百合香は意気消沈。
このクラスでの問題は木っ端微塵に砕いた。
いじめ。言い換えたら犯罪。
それを暴くのは、それだけの覚悟がいる。
それは、なぎさが思い切って望んだことだ。

先生:「私はそれほど熱心に教師をしよう思ったわけじゃない。
私だってね!!好きでこんなことやってんじゃないのよ!!」

変態:「知るか」

変態一蹴。
もはや、聞く必要もないという、ゴミを見るような目で担任を見つめる。

変態:「お前がどう思っていようが知らんのんよ。
こっちは生徒やからな。
俺から言えるのはこれだけじゃ。」

変態:「俺ら生徒があんたに教えてもらうことなんてなにもないっ!!!!!」

そう言うと、担任も泣き始めてしまった。

変態:「ここから先はご自身で判断ください」

そういうと、前の扉から校長が出てくる。

校長:「先生、少しお話があります」

そして、担任は校長とともに教室を出ていった。
残った俺たちはどうしようかと思っていると、
康子先生が教壇に立つ。

康子:「みなさん、私達教師はみなさんが生きて行くための最低限の知識と、
そして、経験をしてもらうために日々頑張っています」

康子:「しかし、だからといって何をやってもいいというわけではありません。
一人一人が善悪の判断がつくぐらいの年です」

康子:「これから先、生きて行くのなら、人を悲しませる努力じゃなく、
自分が人を楽しませる、笑わせられるよう努力してください」

康子:「壁にぶつかったり、逃げたくなったら、いつでも支えてあげます。
私はそのために教師をしています」

それだけいうと、教室を出ていった。

俺たちも教室を後にすると、教頭が代わりに教室に入り、授業?をしはじめたそうだ。

変態:「さて、これで全て終わりです」

俺:「おう」

変態:「後は康子先生に任せましょう。あの人ならきっとどうにかしてくれる」

俺:「そうだな」

廊下をとぼとぼと歩いていると
なぎさが立ち止まる。

なぎさ:「あの、二人とも・・・」

俺&変態:「ん?」

今まで見た中で最高に綺麗で優しい笑みだった。

なぎさ:「ありがとうっ」

それだけで俺たちは満たされた。
やってよかったと、本気で思った。

変態:「いいえ〜(^ω^ ≡ ^ω^)」

そう言うと、二人の世界を邪魔しちゃ悪いと足早にどっかに去って行った。

なぎさ:「俺、本当にありがとね」

俺:「それね、俺思ったんだけどさ」

ずっと俺は思っていたことがある。
というか、最初から思っていた。

俺:「俺、真面目に何もしてねぇよな?」

そうなのだ。
いじめの証拠も証明も、すべてやったのは

変態です!!!

なぎさ:「あはは、それはそうかもねー」

なぎさ:「でもね、私、俺が私のために
一生懸命がんばってくれたことが嬉しかった」

なぎさ:「だから、ありがとう」

そう言って笑ってくれた。
だから、俺は言うならここだと思った。

俺:「俺と付き合ってください!」
なぎさ:「こんな私でよければ喜んでっ!

そう返してくれた。
幸せすぎて死ぬかと思った。

その後の話。

変態と付き合っていた紗季ちゃんが
あの事件の後変態のところへ謝りに行ったそう。

紗季:「本当にごめんなさい!」

変態:「なんで俺に謝るの?」

紗季:「悪いことしてたのはわかってたけど」

変態:「なら、なんでやめなかったの?」

紗季:「それは・・・ううん、なにいっても言い訳だから!」

変態:「そっか!」

紗季:「私のこと軽蔑するよね?」

変態:「もちろんっ!!!!!」

そう言って、彼女にボロクソ言って別れたらしい。
その話をされた後に

変態:「彼氏として教えてあげたんだから、後はもう知りません!
つーか、いじめてるとか知ってたら付き合ってなかったし」

と、意気揚々と話していた。
さすがというか、なんというか。

いじめの問題は解決しても、
向こうの親が黙っているわけはない。

その事実を知った百合香の母親などが
学校に乗り込んでくることがあった。
俺と変態を出せっ!と言っているらしい。
俺は正直まずいなぁ、と思っていたが

変態は「よろしい、お相手しましょう」とヤル気まんまん!
本当にすごい人間ですこと。
しかし、俺たちは康子先生に止められた。

康子:「ここからは私達教師の仕事よ」

俺:「でも・・・」

康子:「いいから任せなさい」

そういって、職員室へ帰って行った。
そのすぐ後に職員室から

康子:「親なのにそんなことも理解できんのか!!!!!!!!!!」

と、一喝する声が聞こえてきた。

変態:「よし、あそこに乗り込むのは不可と見た!」

俺:「お、おふっ」

そうして、その問題は康子先生と校長が
かたをつけたらしい。
その後、なぎさの担任は自ら教師をやめた。
百合香も親とともに他の県へ引っ越して行った。

それから数ヶ月後

俺たちは中学三年生になった。
告白してからなぎさとは付き合い続け、
何事もなく最後の中学生を楽しんでいた。

そして、ある日突然言われた。

なぎさ:「私は高校は他の県に行くことにしたの」

俺:「え、なんで!」

なぎさ:「私ね、自分のことは自分でできるようになりたいの」

なぎさ:「ずっと私は怖かった。でも、いつまでも怖がってるだけじゃ何も変わらない」

なぎさ:「だから、これからは一人で頑張りたいの」

覚悟を決めた目でそう告げられた。
そうしたら、もう何も言えない。

俺:「そっか。 なら、頑張れよっ」

そう言った。
本当は嫌だったし、不安だったけどそれでも
なぎさが頑張ると決めたのなら嬉しかった。
だから、その背中を押すと決めた。

なぎさ:「うん! ・・・それでね」

俺:「うん?」

なぎさ:「卒業したら、私、俺と別れたいの」

さすがにショックでした。

俺:「付き合ってるままじゃダメなの?」

なぎさ:「ううん。でも、きっと何処かで甘えちゃうと思うから。
俺のことは・・・本当に本当に大好きだよ。
でも、高校は一人で頑張ってみたいの!」

本気の目。
前までの隠し事をしている目とは違う。
まっすぐに未来を見つめている目。

俺:「なら、卒業までにいっぱい思い出作ろうな!」

なぎさ:「うん!! わがままでごめんね!俺、本当に大好きだからねっ!」

そういって、抱きついてきた。
そのお返しにキスをした。
さみしかったけど、そういうのもアリかなっと思った。

それから、卒業までいろんなところに行ったり、
デートしたり、本当にたくさんの思い出をつくった。

そして、卒業式の日。
俺たちは約束通りに別れることにした。

少しだけ嫌だったけど、
でも、なぎさが頑張るって決めたならそれを見守ろうと決めたから。
後悔はなかった。

俺:「じゃ、いままでありがとな」

なぎさ:「なぁに?最後のお別れみたいに」

笑っているなぎさはやっぱり綺麗だった。
その表情を見ると、少し泣きそうだった。

俺:「楽しかった! なぎさと付き合えてよかった」

なぎさ:「うん、私も幸せだった」

俺:「これからは、一人で頑張って行けよ!」

できることなら横に居たかった。
それは自分のエゴなんだと思った。

なぎさ:「三年間頑張ってくるね」

俺:「おう」

そして、俺たちは別れた。
自分の大好きな人とさよならをした。
やっぱり少しは泣いてしまった。

なぎさ:「でも・・・」

なぎさ:「でも、三年経ったらまた、俺と付き合いたいなぁ」

なぎさも泣いていた。
笑っていたけど、ポロポロ泣いていた。

なぎさ:「きっと、高校生になったら環境も変わっちゃうし、
俺にも好きな人ができるかもしれない」

なぎさ:「それでも、私は俺のことがずっと好き。
きっと私はこの恋以外いらないっ!」

なぎさ:「だから、三年間だけさよならしよ!」

そう言ったなぎさを抱きしめた。
他の人のことなんか気にならなかった。
俺がなぎさを好きで、なぎさは俺が好き。
だから、俺たちはずっと好きでいようと。
その場でお互いに誓った。

俺:「俺にとってはキツい仕打ちじゃな」

なぎさ:「私も本当はずっと一緒に入れたらどれだけ幸せかって思うよ」

俺:「わかってる」

そして、最後のキスをした。
精一杯の応援と愛しさを込めて。

 

 

そして、三年後…

現在、俺は大学一年生です。
あの日から、俺は高校ではそれなりに楽しく過ごし、
しかし、彼女は作りませんでした。

どうにも、彼女を作る気にはなれなかったので。

進学先は某国立の教育学部に行きました。
そして、その入学式の日。

俺:「三年なんてあっという間やね」

なぎさ:「そうだねぇ」

俺:「結局彼女は作らんかったわ」

なぎさ:「できなかったの間違いじゃないのー?」

俺:「ぶっ飛ばすぞ」

俺となぎさは同じ学校を選んだ。
そして、この春からは同棲している。

もちろん、両親の許可はとっていない。

いつかは結婚できたらいいなとおもう。
これが、俺となぎさのお話しでした。

ちなみに、変態は有名国立の法学部に進みました。

彼は一言。

変態:「半沢と古美門越してくるわ」

とのこと。
まぁ、彼ならやれるんじゃないでしょうか(笑)

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