2024/06/08
それから、細々と暮らし娘も成人し、地元からも離れ誰も知人がいなかった土地での暮らしも落ち着いた。
娘も結婚し、孫の顔も見れるかも知れない。やっと人並みの人生に戻ってきたと思った。
そんな矢先、あの事件の被害者とされる女性から手紙が送られて来た。
女性からの手紙にはこんな事がかかれてった。
私は当時、交際相手からのDVに悩まされ非常にノイローゼだった。
ストレスからか浮気し、更にDVが酷くなるという悪循環だった。
一夜限りで知り合った様な男とも関係を持ち、無理矢理される様な時もあった。
そんな中、浮気を責められそれを否定したいと思い、暴行の様な形で無理矢理されたと言ってしまった……かも知れない。
たまたま浮気相手と夫の背格好が似ていて名前も社員証で何となく覚えていたので、思わずあの人に乱暴された……と言ってしまったかも知れない。
とにかくあの時は自分を守ろうとして必死でした。もしかしたら夫さんは、本当に犯人では無かったのかも知れない。
私は結局交際相手と結婚したが、夫とも子供とも上手く行かずに別居している。
そんな中で病気になり先も長くなく誰も見舞いに来ない中、過去の事を思い出す様になった。
そしてあの時の事件の事を思い出し、謝らなければいけないと思った。
もしかしたら私は、一時の過ちと逃避で夫さんを犯人にしてしまったのかも知れない……
直接会って謝りたい。あなたの事は少ない貯金で何とか探し出した。連絡を下さい。
溜め込んでいた怒りが一気に溢れ出した。
私はある日突然愛する夫を、娘は大好きだった父を奪われた。
それだけじゃなく、あの頃持っていた何もかも無くしてしまった。
私達の大切な日々は二度と戻っては来ない。ふざけるなと思った。
もし会ったら怒りで何をするか分からない。でも一度会って真実を確かめておきたい。
そう思う気持ちもゼロでは無い。