2024/06/08
534: おさかなくわえた名無しさん 2012/04/24(火) 16:36:58 ID:fdGW+lC0
それから一月ほどしてうちの犬と迷い犬とを連れて散歩をしていると、見知らぬ女性が声をかけてきた。
仮にAさんとする。
以前のことがあるので多少の警戒はあったが、「Bさん宅の犬に似ている」と言われて、
Bさんに聞いてみてもらうことにして、連絡先を交換して別れた。
後日近所の公園で犬連れで落ち合う。
迷い犬はやってきたBさんを見た途端に暴れて私の腕から飛び出そうとして、しっぽをぶんぶん振っていた。
あ、この人飼い主だ。とすぐに分かった。
でもBさん、犬を見たまま嫌な顔をする。
なんだろうと思って話を聞いてみると…もうとっくに新しい犬を買っていたのだそうだ。
迷い犬は結構なお爺ちゃん犬で、いつの間にか家からいなくなった時も特に心配はしなかったそうだ。
「ほら、動物って死期を悟ると姿を消すっていうじゃない?」みたいなことを言っていたけど、
それは多分猫の俗説だ。
以前のことで気力を削られていた私はなんかもうどうでもよくなって、「いいです、じゃあこのままうちで
面倒見ますから」と言ったとたんに、Bの目が輝きだした。
「え、その子欲しいの?いいわよ、売ってあげる!」
自分の耳を疑った瞬間だった。
「三十万でいいわよ、買ったときその値段だったし」「本気ですか。払わないっていったらどうするんですか」
「どうしよう?困っちゃうわ。二匹も飼えないし」「面倒見きれないのなら引き取り手探すしかないですよね?」
「そうね」「ならうちで引き取ります」「じゃ、三十万円ね」というような不毛な会話が続き、
とりあえず後日改めて、ということにしてその場は解散した。
立ち会ってくれたAさんも引いた顔をしていた。