おはなしカフェ

中国の工場に出張した時。俺「ちょっと散歩するかな」王さん「ダメ。田舎だし何もない。」→王さんに嘘を言って、こっそり外出した結果…

time 2018/06/13

中国の工場に出張した時。俺「ちょっと散歩するかな」王さん「ダメ。田舎だし何もない。」→王さんに嘘を言って、こっそり外出した結果…

畑横の1軒の朽ちかけた家の中から、ガサガサッという音が聞こえた。

え?ここに人が住んでるの?屋根も壁もボロボロだし、窓にガラスも入ってない。もしかして野犬?こっちは狂犬病が多いと聞いていたのを思い出し、とたんに怖くなった。

すると

「ぐぅぇぇ…」

という声が家の中から聞こえた。

え?え?と俺は凝視モードに入った。

ガラスのない窓枠に、屋内から枯れ枝のような手がぶら下がっているのが見えた。爪が異様に長い。

魅入られたように見ていると、窓の下からばさばさの白髪が現れ、ゆっくりと、しわくちゃの婆さんが顔を半分のぞかせた。

その婆さんの目は、病気なのかなんなのか、白い半透明の膜みたいものがあって黒目がはっきり見えない。

恐ろしさがこみ上げて来て、俺は工場の方へ走り出した。とたんにガッ!と肩をつかまれた感触があった。そりゃもう、必死で走って帰ったよ。

守衛が驚いたように俺を見ていたがそれどころではなく、自分の部屋に転がり込んでへたり込んだ。

あの婆さんはなんだ?普通に住んでる人だったのか?しかしあんなボロ家に?もしそうで、病気だったんなら、走って逃げて気を悪くしただろうか?あっ、見えてないのか。

などど、心臓バクバク状態であれこれ考えた。そういえば、肩をつかまれた感触が??

と思って、Tシャツをずらして肩を見てみると、細い三日月のような赤いスジが3つ並んでる。と、反対側に1つ…

あの婆さんは人じゃないのか!?って震えた。

夕食時、王さんが

「よく休めましたか?」

と聞いてきた。

俺は、ボロ家で見たことを話そうかと思ったけど、怒られそうなので

「うん」

とあいまいに答えておいた。

その晩も王さんが部屋にやって来て、あれこれ話して過ごし、婆さんと肩の傷のことは忘れかけていた。

王さんも自室に戻り、風呂でも入ろうと空きベッドに広げておいたスーツケースから着替えを出そうとかがみこんだ。

その時ちょうど後ろ側にある、開けていた窓のほうでガリッ、て音がしたんだ。ん?なんだ?と一瞬思い固まったが、もう音はない。

気のせいかと着替えをあさっていると、またガリッ、ガリッという音がした。

俺はかがみこんで着替えをつかんだまま、恐怖で固まった。見てはいけない、見てはいけない!どれほど固まっていただろうか。怖くて全く動けなかったんだ。

が…

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引用:にゃんこ速報
画像出典:写真AC

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