2024/06/08
「俺も悪かった。だからあの事はもういい」と父は泣きじゃくる母や私に向けて言っている。
その頃、ちょうど母は子供、つまり私の兄を失い。精神的に参っていたそうだ。
初めての男の子で、母は兄を特に可愛がっていただけに、そのショックは大きくふさぎ込んでいた。
父はそんな母を相手にすることに疲れ距離を取っていた。仕事が忙しいと理由をつけて
それが母を不倫に走らせてしまった事を父は認めていまでは後悔しているようだ。
まるで物語に出てくるようなありふれたシナリオに私は思わず笑ってしまいそうになってしまう。
そんな事の結果、私は母の不倫の子という、自分ではどうしようもない事を背負って生まれる事になったのか
「お前が俺の血をひいてないことがわかっても、お前は俺の子だと思っている。それは本当のことだ。お前が
生まれてからずっとお前を育てて来たのだ。可愛いとも思っている。だけどな、それでも母さんの不倫のことを
知ってから、お前を観てると。どうにもやりきれなくなってな。それがお前に辛い思いをさせてしまったな、済まない」父はそう言って頭を下げた。
やりきれない思い。
それは私も一緒だ。
301: おさかなくわえた名無しさん 2020/05/21(木) 01:58:55 ID:nDg7PTNl
この日、生まれて初めて父と母が憎いと思った。特に母に対して、どうにもならない嫌悪感を抱いてしまう。
私をどうして産んだのよ
そんなことを思わず叫び、母を罵ってしまった。
母はその時、泣きじゃくるばかりだった。
結局、私はそれからしばらく自宅近くにアパートを借りて姉と一緒に二人で暮らす事になった。
表向きの理由は受験に備えて姉妹ともに集中したいからだが
事実は、もちろん違う。
しばらく親子で距離を取った方が良いだろうと判断したからだ
姉は私の事に同情して一緒について来てくれる事になった。
それから大学を卒業し社会人になった今でも、ずっと両親との接触は避けている。姉たちは時々、会っているようだが。
私はどうにもいまだに抵抗がある
ただ、大学を卒業するまで、学費とか生活費はちゃんと出してくれた。
そのことは心から感謝している。