おはなしカフェ

「なんでこういうことするの。なんで入れないの。早く入れて。 ちゃんと今でも好きだから。愛しているから。」

time 2022/12/28

「なんでこういうことするの。なんで入れないの。早く入れて。 ちゃんと今でも好きだから。愛しているから。」

上司がクビになって3ヶ月ぐらいが経ったある日、彼が私のアパートにくることに。
いつもはチェーンまでかけるけど、彼が来るときだけは、鍵だけかけてチェーンはしなかった。
が、その時はいつもの癖で鍵をかけた後すぐにチェーンまでかけてしまった。
彼が来るからチェーンをはずそうと思った時、私は変なにおいに気付いた。

それは調味料の類いの匂いで、朝ご飯作った時のかな?換気しなきゃなと思って、
チェーンをはずさずに部屋の電気をつけて、布団が目に入った瞬間私は叫んだ。
恥ずかしいけど敷きっぱにすることが多々あった布団が、真っ黒になってた。
その周りには醤油や料理酒などの、調味料の空容器が転がっていた。

異様なその光景が怖くて怖くて、外に出ようとしたけど腰が抜けてしまってた。
這うように玄関まで行くと、外側から鍵がガチャっと回されたところだった。
彼氏だ!と思って一瞬安心したものの、チェーンのまま勢いよく開けては、
ガン!ガン!ガン!ガン!と何度も何度も乱暴にドアを開けようとしてた。

え?彼氏?と思って震えていたら、ドアの隙間から人が顔をだした。
遠くへ引っ越したと聞かされていた、あのクビになった上司だった。

485: 恋人は名無しさん 2009/08/04(火) 12:37:47 ID:GLKWwpgvO

私はたぶん叫んだと思う。全身が氷水に浸かったみたいに一瞬で冷えた。
黒い布団も怖いけどそっちの方がましだ!と思ったのに体が動かなかった。
私がパニクってると、元上司が真顔で「なんで」と言ってきた。

「なんでこういうことするの。なんで入れないの。早く入れて。
ちゃんと今でも好きだから。愛しているから。だからだよ。
ただ会いたかっただけだから。許してあげるつもりで来たんだから。
許してあげるのに…また僕を怒らせてお仕置きされたいの?」

じーっと見られながら真顔で淡々と話してきた元上司は、肉般若を彷彿させた。

私は頭が全然回らず「待って、待って」とただ繰り返した。すると、
それがよかったか元上司は「待ってあげる」と言ってドアをしめた。

上司の顔が見えなくなって、ようやくちょっと落ち着いた私は彼に電話した。
警察は頭に浮かばなくて、次期来るであろう彼に教えなきゃ!と必死だった。
彼はすぐに電話にでてくれた。早く伝えることができて安心する反面、
彼が即座に電話をとれる状況に私は愕然ともしてしまった。

私のアパートには駐車場がなく、彼は近くの別の駐車場に停めてから歩いてくる。
だから、彼がすぐに電話に出れると言うことは、歩いていると言うことだった。

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