2024/06/08
758: 753 2011/07/11(月) 22:44:15.99 ID:p3E6Ei2M0
「誰」と女が言った。彼女は震えてるだけで何も言わない。
女はなにかを呟いていた。「そういうこと」「うそつき」とか聞こえて、
カッターの刃をチキチキチキ…と出したり引っ込めたりしながら
真正面から見て、ああこの人はいかれてるんだなって思った。
焦点あってないし、なんかちょっと笑ってるし、マジでホラーだった。
「けっ警察呼びますよ」
情けないけどこれがやっと言えた言葉だった。
女は聞こえてるのか、案外あっさりカッターを捨てた。
捨てたっていうかテーブルの上に投げ出して、俺はそれを女からできるだけ
離さなければと思い、柄の部分を掴んで開けっ放しになってたベランダに
投げた。女はそれをブツブツ言いながら見てるだけだった。
760: 753 2011/07/11(月) 22:45:49.02 ID:p3E6Ei2M0
どうすればいいかわからない俺。怯えているのか腰を抜かしたまま泣く彼女。
今度は座りこんで何やらつぶやきながら左腕を掻きむしり始める女。
グチャグチャと音がして部屋の中が血の匂いで充満して、
そういうの心底苦手な俺は吐きそうになりながらもどうにか耐えた。
俺は彼女をかばったまま警察を呼んで、10分くらい後で警察到着。
その間、彼女は泣きすぎで過呼吸?みたいになってた。
誰?とかなんでこんなことに?とか聞いてもパニクってて会話にならない。
女は相変わらず小声で何かつぶやき続けている。
「幸せになろうねって言ったのに」「最低」「許さない」
「売女」「不潔」「死ね」「うそつき」「汚い」みたいな
言葉が聞こえてきて、とりあえず危害を加えられたくなかったので
ワンルームのできるだけ離れたところに彼女をひきずって警察を待った。