2024/06/08
おじいさんは低い声でお子様に
「立ちなさい」
と言った。
お子様が
「疲れてるからやだ」
と言うと
「立つんだ!」と一喝。
「何ですか!大きな声で!」
と怒る母親に
「お子さんは男の子。でしたら女性に優しくするのは当然のはず。貴女もそうしつけなければいけないでしょう。私はこちらのお嬢さんに席を譲ったのであって貴女のお子さんには譲ってない!」
静かに言うと子供を立たせて私を座らせた。
それを見て母親は顔を真っ赤にするとお子様を抱えて別車両に行ってしまった。
見るからに弱々しげでむしろ私が席を譲るべき感じの人だっただけに、その力強い声にはっとした。
何だか亡くなった祖父を見ているようで少し泣いてしまった。
スーッとはしないかもしれないけれど、パニック障害で本当に死ぬかと思うほど苦しかったので、座らせてもらえて本当によかった。