2024/06/08
我々は逃げるように、駅前の喫茶店まで一言も声を出さないで早歩きできた。
887: 883 2012/07/05(木) 01:06:00.13 ID:wwOqm/tm
いやあ、参った、と先輩は胸を撫で下ろしていたが、妹は考え込んでいた。
女性が最後に言った言葉。
取材の前、ただの付き添いの私を除いて、他の三人は女性にサークルの名刺を渡して
いたことを思い出していた。
先輩は気にすんな、と言っていたが、妹はアパートをしばらく留守にして、
私のアパートで生活させることにした。
先輩の恋人がアパートの台所で夕飯を作っていると、
共用廊下に面した窓が勢いよく開き、あの女性が立っていた。そして
「こんな顔でいつまでもへらへらしていられると思うなよ」と怒鳴り、
出来損ないの火炎瓶を投げ入れて走っていってしまった。
”火炎瓶”は瓶の中にただの水を半分くらいまでいれ
瓶の口から火のついた布を差し込んだ物で、部屋の中でごろごろと転がっただけだったが、
その時の女性の顔を思い出すと、これからのことを想像するだに恐ろしくなり、警察に通報した。
888: 名無しの心子知らず 2012/07/05(木) 01:07:17.83 ID:Fmxi/5fk
>>887
こ、こわー
889: 883 2012/07/05(木) 01:07:47.63 ID:wwOqm/tm
その後あの女性はしかるべき施設に収容されたようだが、事情を訊こうにも警察は口ごもり、
逆に取材と称して面白半分に女性宅に赴いた、事の発端を窘められた。
しばらくして、妹は自分のアパートに戻った。
久しぶりにドアを開けるとそこには大量の使用済みオムツと
あの男の子の写真がばらまかれていた。
普通の生活風景の写真ばかりが何枚もあるうち、
私が確認した写真の1枚から判断すると、男の子はもうこの世にいない。
終わり