2024/06/08
友美と友彼は修士から違う大学に入り直し、日々研究しつつ恙無く過ごしていた。
二人は同じ分野(研究室は違うが講座は同じ)で、
同じ講座の少ない院生と結構仲良くしていたらしい。
その中に髪子がいた。
髪子は人の話を聞かずに自分の希望を進めようとし、
思い通りに行かなかったらキレる人らしい。
(軽い例えとして、『ファミレスでドリアを注文しようとしたらハンバーグにしろと強要し、
友子がドリアを頼んだら水をぶっかける人』と説明された。)
まあ世の中変な人もいるよねと、1年経つ頃にはみんな髪子と距離を取っていた。
修士2年に進学したころ、院生計10人ちょっとくらいで飲み会をしたらしい。
髪子を誘わないわけにもいかず、もちろんメンバーに入っていた。
場所は半一戸建てで部屋が広い友彼宅。
友彼は実験が伸びてしまい不在となったが、予定通り飲み会が始まった。
飲み会が始まり1時間してみんなの酔いがいい感じに回り始めたころ、髪子がベッドに乗りあがった。
髪子「あっれ~?友彼君のベッドに長い髪の毛落ちてるよ~?誰のかなあ~?」
もちろんその場の髪子を含め全員が友子と友彼が付き合ってることを知っている。
みんな、「きゃーえチ~w破廉恥~w」みたいに囃したてたらしい。
しかし髪子は笑いもせず、摘まんで掲げた長い髪の毛をじっと見ていたらしい。
変な空気を感じて笑いが失速。
そして髪子が一言。
「長い髪の毛って汚いよね。」
おもむろにベッドの上に立ち上がると、
「友美、髪切れ。今すぐ。汚い。」と早口で命令。
何を言い出すんだと周りが引きつりつつ笑って流そうとしたらしい。
でも「切れ!汚い!」と今度は叫ぶ髪子。
友美も自慢の髪を汚い!切れ!と言われて
黙っていられるほど大人しい性格ではない。
「これは絶対切らない。」と静かな声で断言。
その友美の一言で部屋は静かになり、髪子もベッドに座ってその話は終わった。
終わったかのように見えた。
168: 恋人は名無しさん 2010/09/29(水) 01:08:32 ID:FkPE40RI0
そのあと、みんな盛り上げようと
「いや~友美さんの髪本当綺麗!」
「長い髪維持するの大変そうだよな~!」
「俺若ハゲだから残りの髪を大切にするわ!秘訣を教えて!」とか冗談交じりに話し出した。
場も和んでそれから30分ほどした時、髪子が部屋から消えたらしい。
トイレ?むしろ帰った?まあ居づらいだろうしと思ってみんな追わなかったらしい。
しかしすぐに髪子は戻ってきた。
友美は髪子に苛立っていたため髪子を見ていなかった。
急に頭が、むしろ髪が後ろにひっぱられたらしい。
ジョキン!
振動と音、そして軽くなる頭。
友美は最初何が何だかわからなかったらしい。
まわりがこっちを驚いた表情で見て、ジャクジャクジョキンという音が聞こえていたらしい。
座る膝の上には髪が落ちている。
後ろを振り返ると髪子がいた。笑って。
「こんなの汚いよね。てか友美ちゃんが汚いよね。」
腕と首元を引っ張られ、2mくらい引きずられたらしい。
そこでみんなが髪子に飛びつき、友美を髪子から引き剥がした。
離された髪子は笑った顔を崩さず
「だって長い髪汚いよ?友美ちゃん汚いのに。なんで?汚いじゃん?」って。
そこまで言うと髪子は部屋を飛び出し、荷物もそのままに走り帰った。