おはなしカフェ

隣人『痛いよー』『ごめんなさいー』『誰かー』→私(救急車呼ばなきゃ…でもこの男とは関わりたくない…このまま居なくなれば…)後日、警察が来て…

time 2024/12/14

隣人『痛いよー』『ごめんなさいー』『誰かー』→私(救急車呼ばなきゃ…でもこの男とは関わりたくない…このまま居なくなれば…)後日、警察が来て…

仕事に行くときもそのおっさんと鉢合わせしないかビクビクしながら出掛けてた。気軽にコンビニも行けない生活。
昼夜を問わず、いつ怒鳴りいつ暴れるのか分からない毎日で、あんまりお金もないし長年住んで慣れた場所だけど、引っ越すしかないかな、と思い始めた頃だった。

代休でたまたま平日に家に居た時、大きな音がしてまたか…とウンザリした気持ちになってたら、
いつもと様子が違う。

どうやら例の男が階段から落ちたらしく「痛いよー」「ごめんなさいー」「誰かー」と叫んでるようだった。
救急車呼ばなきゃ、と思うと同時に、男と関わりたくない、このまま居なくなれば…と思ってしまって、体が止まって動けなかった。
本当に、飲み物を持ったグラスをテーブルにも置かずフリーズしてるって感じ。

だんだん呻き声が小さくなって来たくらいで、通りすがりの人が発見して救急車が呼ばれた。
その男は戻ってこなかった。

後日、警察がアパートの住人に事情を聞きに来たけど「平日は仕事なので…」と言うとそれ以上は聞かれなかった。
警察に嘘をついたんだ、とゾワゾワした。

今まで、自分はどちらかというと人助けとかをちゃんとする方だと思っていた。必要そうな人には座席も譲るし、目の前で転んだ見知らぬ酔っ払いのおじさんのために救急車を呼んだこともあった。

でも今回、全く身動きできなかったことで自分の中の黒い部分を自覚した。
翌日、出かける前にアパートの階段下を見たらまだ血が残ってた。それを見ても、戻って来なければいいな…としか思えず、今まで自分が親切のつもりでやったことも偽善だったんだな、と思った。

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