2024/06/08
44: 名も無き被検体774号+ 2012/04/17(火) 15:21:46.62 ID:jyhyi4F50
さっき姉を馬鹿呼ばわりしたけど、実は俺も馬鹿だ
姉ほどではないにしろ、受験はやばい
一応問題集とかやってみるが、成績はなかなか上がらなかった
そこで俺はついに姉を頼る
姉に頼ったのはおそらくこの時が初めて
姉はちょっと先輩面しながら、俺に究極の勉強法を伝授してくれた
だがこの勉強法は俺に真似できそうにない
仕方ないので家庭教師をつけてもらうことにした
家庭教師は男だった
いい人だった
この人のおかげで俺はまあ馬鹿呼ばわりされない程度の微妙な偏差値の高校に入学する
45: 名も無き被検体774号+ 2012/04/17(火) 15:22:50.93 ID:jyhyi4F50
クリステルの影響で髪を染め、化粧をするようになった姉は、すっかり今時の女子高生になっていた
彼氏もできた
姉の彼氏は眼鏡をかけた真面目そうな人で、よくうちに遊びに来ては、その頃まだ小学生だった俺の妹とゲームしてやったりするいい人だった
ただ人見知りみたいで、男の俺には挨拶するくらいだったが
でも俺に対してちゃんと気を遣ってくれてる感じがして、好感が持てた
姉の彼氏が遊びに来るようになる少し前、うちは家を建て直していた
前の家は大工だったじいさんが建てたもので、結構古かった
ただじいさんが生きている間は壊さないと決めていた
じいさんがシんで2年
ついに思い出の残る我が家が取り壊される日が来た
ボロかった家はあっという間にただの瓦礫になった
瓦礫をバックにして家族写真を撮った
みんな泣き笑いみたいな表情をしていた
46: 名も無き被検体774号+ 2012/04/17(火) 15:24:08.18 ID:jyhyi4F50
仮住まいに移るため荷物を整理していたら、ばあさんの箪笥の奥から古い写真が一枚出てきた
まだ青年で髪もふさふさだったじいさんが、赤ん坊だった親父を抱いている写真
じいさんはすごく穏やかな優しい笑顔を浮かべていた
姉はその写真を自分にくれと言ってアルバムに仕舞った
今でも姉はあの写真を大事に持ってる
写真嫌いだったじいさんの数少ない一枚








