2024/06/08

交際が始まるとすぐに結婚の話しが出た。
「いっぱい旅行して思い出を作っていこう」
「結婚式は沖縄だね」
「新婚旅行はカナダに行こう」
「結婚したら千葉で一緒に暮らそう」
「子供は2人かな」
彼からそう言われて、具体的に結婚を考えるようになった。
毎日が楽しくて愛されている事に幸せを感じていた。
6: 名無しさん 2019/05/18(土) 13:41:14
彼はご両親と3人暮らしで、ご両親の事をとても大切にしていた。
家族仲良しエピソードを沢山話してくれた。
毎年家族でハワイ旅行をしている事、築地に行きつけの寿司屋がある事、2ヶ月に1回国内旅行をしている事。
そして、「結婚したら私子ちゃんのご両親も自分の両親と同じように大切にするよ」と言ってくれた。
私は長女で兄弟は遠方に嫁いだ妹しかいないので、その言葉は嬉しかった。
7: 名無しさん 2019/05/18(土) 13:42:15
彼はすぐに私をご両親に紹介してくれた。
ご両親にも気に入ってもらえて、度々彼とご両親と私の4人で食事をしたり、一緒に旅行もするようになっていた。
ご両親は私に会う度に「私子ちゃんは本当にいい子」「私子ちゃんと結婚できるなんて息子は幸せだ」などと過剰に褒め倒してくれていた。
私はそれを笑顔で聞いていたが、言い知れぬ居心地の悪さを感じていた。
8: 名無しさん 2019/05/18(土) 13:43:06
彼のお父さんも教師で曲がった事が嫌いな性格だった。
というより、自分の考えと違う考え方を曲がった事として絶対に認めない性格だったのだと思う。
彼の実家はお父さんが支配していて、お父さんの言う事は絶対という空気があった。
家族全員いつもニコニコしていたが、貼り付けたような笑顔が心の底からの笑顔でない事は薄々感じていた。
9: 名無しさん 2019/05/18(土) 13:44:22
ある日彼のお家にお邪魔し、食後のみかんを食べながら4人で雑談をしている時、
お父さんが私に「このみかんどう?」と聞いてきたので、私は「甘くて美味しいです」と答えた。
するとお父さんは「違うだろ!みかんは酸っぱいのが美味しいんだ!」と言った。
彼もお母さんも黙ったままで、え〜甘くて美味しいですよ〜なんて言える空気ではなく、私は「そうですね」と言うのがやっとだった。
10: 名無しさん 2019/05/18(土) 13:45:09
みかん事件の数週間後、また彼のお家でみかんが出された。
その瞬間、間違いなく空気が重くなった。
みんな無言でみかんの皮をむき、食べ始めた時にお父さんが口を開いた。
「酸っぱくて美味しいだろ?」
11: 名無しさん 2019/05/18(土) 13:46:13
みかんを甘くて美味しいと感じるか酸っぱくて美味しいと感じるかは完全に主観なのにもかかわらず、お父さんの酸っぱくて美味しいの決め打ち発言。
ここでは自分の感想すら言えないのか、この家ではお父さんがカラスは白いと言えば白い事になるんだなと一瞬の間に考えながら、
「はい」とだけ答えた。
私のこの答えに彼とお母さんが満足そうな顔をしていたのが今でも忘れられない。