2024/06/08
タオルを三本くらい繋げて私を窓から吊るして出し、その後自分も浴槽のふちに足をかけて這い出した。
そのまま一番近くの、今でいうママ友宅まで夜道を走って逃げ、お金と履物を貸してもらって汽車で母の実家に行った。
母はある意味薄情というか割り切った人だから、離婚すれば借金も背負わなくていいし、子供と二人ならどんなことしてでも生きられるとふんでた。
しかし、父が心中を持ちかけてきたときの思いつめた様子からして、合意の心中を断ったら無理心中になだれこみそうだと考えたらしい。
そうすると、自分ひとりなら逃げられるor戦えるかもしれないけど、私を人質にとられたらやばいと思って、何とかこの場を逃れようと必死で考えたらしい。
そのときは何がなんだかわからなかったけど浴室から私を出すとき
「泣かないのよ!」
と押し殺した声で言った母の顔がすごく怖くて、はだしの足の裏が痛いのも忘れて必死で走ったことをよく覚えている。
つい最近父がめでたく天寿をまっとうしたという話なので記念に。
あいつ結局一人じゃ死ねなかったらしい。