2024/06/08
なるべく寂しそうな顔をして(多分実際は五木ひろしみたいな顔になってたと思うけど)
「本当に覚えてないんですよ・・・Aさん、何か知ってる事あったら教えてくれませんか?
なんだか、人生にそこだけぽっかり穴が開いてるみたいで」
と答えたら目がすいすい泳ぎ始めた。
そのうち目線が俺の根性焼きの跡に注がれてきたので、
「これもね、いつやったか分からないんですよ・・・自分にとってあまり思い出したくないこと
だから忘れちゃっただけかも知れないけど」
って五木ひろし顔で言ったら真っ青になっていた。
あれだけ悪ぶってたAが、自分の行いが誰かの人生を変えてしまったという
事実にびびってるのがすごく滑稽だった。
帰り際に
「あ、今度卒業アルバム持って来て下さいよ、何か思い出すかも」
と声をかけたら引きつった顔で頷いたので、
「俺、アルバム捨てちゃったみたいで。じゃあよろしくね。『A君』」
って言い残してその日は帰った。
その後転勤で県外に引っ越すまでは何度かそのサークルに顔を出した。
メンバーやバービーは俺を気に入ってくれて、すごくよくしてくれた。
バービーは基本的に曲がった事は大嫌い!な人で、Aは
とてもじゃないが昔俺をいじめていたとは言えない雰囲気らしく、
終始居心地悪そうにしていた。
復讐になってないと言われればそうなんだけど、
それなりに自分の人生が充実してきたところで
因果な真似をするのは気が引けた。
高校でのいじめは自分にとってもう本当にどうでもいいし、
小心者のAが勝手に罪悪感を感じ続けるならそれでいいやと思ってる。
最近バービーから「こっちに帰ってきたらまた教えて、みんなで俺君待ってるよ」
ってメールが来たので記念にカキコ。