2024/06/08
俺が知らないのも無理はない。
話の内容はいつもヤバい話のなので誰も広げようとしなかったようだ。
というか、話を広めたとして仕返しをされたらいやだということで、
誰もが黙っていた。
俺はそんなやつを友達と思っていたなんて…。
そう思うと、今までもっと遊べばよかったと後悔していた自分が恥ずかしくなってきた。
更に俺は、結婚していた彼女がボウリョクを振るわれていた事を知る。
結婚してから、ずっと。
いわゆるボウリョク夫というやつで、
彼女も「自分が悪いんだ」とすっかり思い込まされていた。
テレビでそんな事を見たことがあったが、
まさか俺の身近で起こっていたなんて知らなかった。
しかも、昔自分が好きな人がそれを受けていただなんて。
正直、かなりショックだった。
それから数時間経つと、人数はかなり減っていた。
そんな時、棺を見つめる彼女の姿が目に映った。
彼女の目からは、涙がこぼれ出ていた。
俺はそんな彼女が哀れに思えて仕方なかった。
周りには誰もいなかったので、俺は声をかけた。
なんて声をかけたらいいかわからなかったから「通夜にこれなくてごめん」とだけ。
そうすると彼女は俺に振り向き、
「いいんだよ、別に」と答えてくれた。
その時に気付いた。彼女、少し笑ってる
俺はその時に、彼女が気が動転していると思った。
今思えば、思考回路が純粋すぎだ俺。
「夜風にでも当たって、少し気を落ち着けた方がいいよ」
俺はなるべく優しく言った。
「ありがとう」と言われて彼女は立ち上がると俺に向かって
「一緒に来て」と優しく囁いた。
その時、嫌な予感がした。
すごく、嫌な予感が。