2024/06/08
たぶん、俺が店長に話したからだと思うが
話した後すぐ、吉村はバイトをクビになった。
実際、ほとんど仕事しないし、よく休むし、
バイト仲間からも嫌われてるやつだったので
クビにする理由はいくらでもあった。
俺は、菜美にさっそくgetした吉村の個人情報を伝え
親御さんに話して、
もう近づかないよう吉村の親に警告してもらうことを提案した。
しかし、菜美は複雑な顔をして、親には話したくないと言った。
菜美を大学に通わせるために、菜美のお母さんはかなり無理をしてるようで
毎晩、体力的に限界に近くまで働いているらしい。
疲れてるお母さんに余分な心配掛けたくないと菜美は言った。
菜美からの相談に乗ってるうちに、
俺たちは、次第に事件以外のことも色々と話すようになった。
菜美は母子家庭であまり裕福ではなく
仕送りが少ないために、生活費は自分のバイトで捻出していた。
また卒業のためには奨学金獲得が必須であるため、
大学の勉強で手を抜くわけにもいかず
家に帰ってからも自習をせざるを得ず
このため、普通の大学生のように楽しく遊ぶ時間なんて
ほとんどない生活だった。
東京でなかなか親しい友達ができないのは、
まだ来たばかりという理由以外に、
ほとんど遊ぶ時間がないというのも
関係してるんだろうと思った。
友達の少なさとは裏腹に、菜美はすごくいい子だった。