2024/06/08
書類上の新婦ってのは、別に知的障害や知恵遅れはないんだが、自分で自分のことを「知的障害がある」と紹介して回っているらしい。
高校から大学へはストレートで入学したし、留年もせずに卒業はした。
なんでも小学校3年生まで漢字をかけなかっただの、自分の名前がわからなかっただの、九九を覚えられなかっただの、ローマ字が中学までわからなかっただの、そういうエピソードを語っていたということだった。
教授の言葉を借りるなら「自分に自信がない女の典型」だったらしい。
自分の成績が悪いのを病気のせいにしたがるタイプ、そういう女だったらしい。
大学では文化祭実行委員会に所属していた。俺はそこの先輩だった。
だが、彼女はほとんど委員会の仕事はせず、名前だけ登録してある状態で、前日までの準備期間では全く見たことがなかった。文化祭の当日に、初めて会った。
長い黒髪が特徴的な女だったが、いつも無表情で二コリともしないのが、印象的だった。
で、彼女は大学に入学してすぐに悪い男にひっかかったらしい。
俺も知っている、悪名高い元委員長だった。