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ゲーセンで出会った不思議な子の話

time 2021/12/18

ゲーセンで出会った不思議な子の話

54: 名も無き被検体774号+ 2012/01/15(日) 05:03:13.70 ID:dei2nTng0
実に興味深い
57: 1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 05:04:27.26 ID:WuLtuWlB0
自分にない何かを持ってる人。
よく分からなくて、自分を振り回す人。
きっと俺はそういう人に弱かったんだ。
もともと大好きで通っていたゲーセン、それからは毎日違うときめきと
一緒に通うことになる。
今日はいるか?明日はいるか?
もちろんいつも会えることはなく、会えない日のほうが多かった。
もしかしたらもう2度と会えないんじゃないか…
そんな風に思うこともあった。
68: 1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 05:41:52.29 ID:WuLtuWlB0
何日か通っていると、彼女は再びゲーセンに現れた。
またベレー帽を被ってたんだけど、いつもと様子が違った。
服が作業着っぽいのか、インクやアクリルがついてて、
靴にいたっては絵の具だらけに汚れていた。
LOVをする手も、絵の具で汚れているようだった。
69: 1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 05:43:25.66 ID:WuLtuWlB0
俺はもうときめいちゃって、ワクワクして話しかけた。
「こんにちは~」
彼女「うん…」
いやにテンションが低かった。
明らかに何かあったかんじではあった。
でもまあいつも変な感じではあるんだけど、その日はなんか、落ち込んでいた。
70: 1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 05:45:14.38 ID:WuLtuWlB0
ゲームに負けても独り言言わない。
ただ黙ってひたすら…
その横顔が自分とは違うちょっと大人に見えた。
俺「一戦終わったら、休憩しませんか?ね。」
彼女「そ、そのとおりであるね~」
やはり変ではあるが。
71: 1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 05:47:42.66 ID:WuLtuWlB0
俺「今日は大学で絵でも描いてきたんですか?」
彼女「いや…大学はもう卒業間近だし、関係ないね~」
俺「あ、そういえば美大って…!どこに就職するんですか?」
おれは無邪気な期待で聞いただけだった。
彼女「……。」
74: 名も無き被検体774号+ 2012/01/15(日) 05:51:51.86 ID:UNsJdFg90
美大とか芸術学部とかは、まじ就職厳しいらしいな
76: 1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 05:59:23.16 ID:WuLtuWlB0
彼女「就職はね…ちっちゃいデザイン会社で…」
俺「うわ、デザイナーじゃないですか…!すごいですね!」
彼女は笑った。
彼女「ありがとう~そんな風に言ってくれるのは君だけだな。」
彼女「でもなぁ、もどりたいなあ。君くらいの時に」
俺「どうしたんですか?何か夢があったんですか…?」
今思えば、ずけずけと聞きすぎだった。
彼女は泣いてしまっていた。
彼女「辛いなあ…君といると。名前なんてんだっけ?」
俺「富澤です…。」(仮名、サンドウィッチマンに似てるので)
彼女「そっか、わたしは吹石っていうんだ…」(吹石一恵に似てるので)
77: 1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 06:02:44.07 ID:WuLtuWlB0
彼女「君は絵が好きなの?」
俺「好きです…下手ですがそればっかやってます…」
彼女「あははは、そうなんだ。」
そうするとまた泣いてしまって、
彼女「ごめんね…もうゲーセンにも来れないかも。」
そう言って夜の街に飛び出していった。
94: 1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 14:56:55.38 ID:WuLtuWlB0
彼女はゲーセンを出ていった。
俺は混乱した。何か悪いこと言ったのか?
もう何がなんだか分からなくなってた。
無心で追いかけた。
「待ってください!どうしたんですか!?」
95: 1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 15:00:13.56 ID:WuLtuWlB0
彼女は立ち止まって黙った。
俺はどうしようか困った。
なんて声をかけたらいいか分からなかった。
目の前で、ベレー帽を被って手や服を絵の具で汚した女の子が泣いている。
なんてヘンテコな状況なんだろう。
瞬間、俺はこんな事を口にした。
「そ、そうだ…これから画材屋さんにでも行きませんか?」
96: 1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 15:02:49.52 ID:WuLtuWlB0
なんでこんなことを言ったのか分からないが、
何か状況を変えようと思ってとっさに出た一言だった。
彼女「え…?ほんとに?」
俺「はい、行きましょう、近場でどこか…」
彼女の反応は思ったよりよかった。
そして幾分ノリ気であった。
彼女「じゃあさ、近くにあるから行こう。ちょっと電車のるけど。」
97: 1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 15:07:32.31 ID:WuLtuWlB0
駅に向かって、黙って切符を買う。
「JRって高いのかな?」
などと彼女は言っていた気がする。
ホームで電車を待ってた。時間帯もあって、駅はなかなかの雑踏だった。
無言で過ごす。さっきまで泣いていたのに、彼女は思ったよりケロッとしていた。
俺はよく分からない展開に動揺して、緊張して、足が震えてたかもしれない。
彼女の方を見ると、笑ってVサインをしたりしておどける。
俺「なんなんですかソレ」
彼女「わからんなw」
98: 1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 15:11:12.14 ID:WuLtuWlB0
この道中も、彼女は決して自分のことを語ろうとはしなかった。
俺がひたすら話していた気がする。
「美大生なんて本当に憧れる」とか「絵が好きで上手くなりたい」とか
俺が終始しゃべっていた。
そのたびにニコニコするだけで、それがなんだか可愛く見えた。
でもなぜ泣いてしまったのか、そのことには触れられなかった。
99: 1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 15:17:48.68 ID:WuLtuWlB0
画材屋に着く。
すると彼女は途端にテンションが上がって、
あ~どうしよう張りキャン買ってこうかな~あでも筆も…
などと顔をキラキラさせて俺を連れ回して買い物を始めた。
俺はリラックスしている彼女になら何か聞いても大丈夫だと踏んだ。
俺「楽しそうですね。」
彼女「ここ来るとやっぱね~テンション上がるよ。」
俺「でもこの前、もう絵描いてないって言ってませんでしたっけ…?」
101: 1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 15:24:26.21 ID:WuLtuWlB0
彼女「いや、それはね…」
俺「気を悪くしたらごめんなさい…でもなにか知りたくて。
今日もいきなり泣かれてしまって…」
俺はもう彼女のことで頭が一杯だったから、知りたかった。
そして少しでも彼女の力になりたいと思っていた。
俺「なんで、いつもゲーセンに来てるんですか?なにか思い入れが?」
彼女「思い出があるんだよ、だから」
分からない。
102: 名も無き被検体774号+ 2012/01/15(日) 15:25:13.49 ID:OPjA9tnB0
意味がわかると怖い話か
103: 名も無き被検体774号+ 2012/01/15(日) 15:26:28.52 ID:k/QC1PhU0
わかった。彼女は幽霊なんだな!!
104: 1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/15(日) 15:29:15.37 ID:WuLtuWlB0
もう分からないことだらけだった。
一体なんなんだろうこの人は。
そもそもただでさえこんな女の子がいつも一人でゲーセンに
来ていること自体不思議で仕方なかった。
俺「思い出って…なんなんですか?」
彼女「わたしの絵、見る?」
そういえば見たことなかった。
俺はそこで彼女のケータイから彼女の絵を見せてもらった。

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