2024/06/08
数年前の話です。
うちの旦那はトラックのドライバーをやっていて、月の半分以上は家を留守にしています。
その頃長女が生まれたばかりの私は、育児とアルバイト、家事と留守番に追われ毎日ろくに睡眠も取れず、少しノイローゼ気味にイライラと暮らしていました。
その頃住んでいた所は1LDKの古いタイプのアパートで、隣人の騒音もひどく、それも寝不足とイライラの原因だった。
また、逆に長女の泣き声で周りに迷惑をかけることも多く、夜鳴きが始まると時間に関わらず赤ちゃんをかかえたままアパートの中庭や路地に出てあやしていました。
そんなある日、やはり夜鳴きがひどく、時間は夜の1時前後だったかと思いますが、アパートを出て暗い路地で赤ちゃんを抱えてあやしていました。
あやし始めて30分もすると泣き止んで寝付きはじめたので部屋へ戻ることに。
赤ちゃんを奥の寝室にあるベビーベッドに寝かせ、自分はリビングの椅子に腰掛けるとあまりの疲れと寂しさから、しばらくぼーっとしてました。
電灯も点けることもせず、牛乳の入ったグラスを片手に、ただ遠くに聞こえるトラックの走る音を聞きながら、街灯の灯りが差し込むだけの暗い部屋でぼんやりとしていました。
するとどこからかキシキシと金属を擦りあわすような音がかすかに聞こえてきました。
最初は気に留める余裕すらなく、表通りから聞こえてくる車の往来の音に混じって雑音程度にしか考えてなかったのですが、あまりにも音が続くことからネズミや虫だったらいけない、と首だけ回して音の元を探し出しました。
音はどうも今自分たちが入ってきたドアの方から聞こえてくるようです。
かといって立ち上がって探しに行く気力もなく、何だろう?とドアの方を見ているとキシキシっと言う音がしばらく続いたあとに、ロックのつまみがゆっくりと回りだしました…