2024/06/08

ピッキングだ!!!さっき入るところを見られたのかもしれない。赤ちゃんと自分の2人だけと言うことを知っているのかもしれない。
心臓が急に強く胸を打ち出しました。
牛乳がこぼれ出すほどグラスを持った手が震えだし、かといって声も出ず、ただただゆっくりと回るつまみを見ていました。
いけない、何かしないと。
焦る気持ちと裏腹に疲れきった体を動かせずに、私はただただゆっくり回り鍵のつまみを見ていました。
そのうちにカチリっ音がして、つまみが完璧に水平に、ロックが完全に外れたことが見て取れました。
あわてて視線だけでチェーンを見ると忘れずにかけていたようで、ほっと息がもれました。
今のうちに椅子から立ち上がって電灯だけでも点ければ退散するかも、そう考えても固まった体は腰を上げることが出来ず、ただ体の震えが増す中ドア見つめていました。
すると取っ手がゆっくりと回り、ドアがじわじわと開きだします。外の灯りが暗い部屋に細く差し込んできました。
私は過呼吸ばりに荒い息を口を押さえて押し殺しながら体の震えを抑えるように脇をしめながら、お願いだからチェーンに気付いて引き返してくれと祈っていました。
ドアがゆっくりと開かれて、しかしチェーンが伸びきったところで止まります。
お願いですから帰って下さい、ここへ入ってもお金も何もありません、私は心の中で顔の見えない侵入者にお願いしていました。
するとその願いを聞き入れたかのように、伸びきったチェーンを確認したところでドアが音もなくゆっくりと閉じられました。
今だ、走っていってもう一度鍵を閉めなくては、私は動かない下半身を持ち上げるようにテーブルにヒジをつきました。
するとまたドアがすーっと開きました…