2024/06/08
当時の俺は、仕事の関係で地方都市に住んでた。
俺は趣味でロードバイクに乗っていて、休みの日にはポタリングに出かけたりしていた。
ある日、少し遠出をした俺は、尿意を催し、公衆トイレに立ち寄った。
カギは持ってきていなかった為、トイレの中から見えるところにロードを置き、用を足しているとき、外に置いてあるロードのそばに、怪しい人影が近づくのが見えた。
よく見ると、妙な女が俺のロードをジッと見ている。
「倒れたりするとシャレにならんから、手を触れてくれるなよ…」
との願いも届かず、俺のロードを手にかけたと思いきや、手で押しながら、ロードと共にその場を去り始めた。
思わず、口から「フヒッ」と変な笑い声を発し、
「触るどころか、持っていくんか!?」
と、焦った俺は、膀胱内に残った水分を思いっきりジェット噴射し、すぐにその女(以下キチ)を追った。
俺「おいあんた!」
キチ「なに?」
俺「その自転車、あんたの?」
キチ「そうよ?」
俺「いやいや、その自転車俺のなんだけど」
キチ「何言ってんの?証拠でもあんの?」
心の中で、「持ち主を前にして、こいつすげぇな…」と思ったが、同時に、まるで他人事のように「これがキチか」とか考えていた。
とりあえず警察呼びますね、と、シートポストを掴みながら110番。
キチが叫んでいたが、盗難の現行犯で逃走の危険性があるから、早く来てくれ、と言ったら、近くに交番があったらしく、3分ほどで到着した。
キチは何故か逃げずにムスッとして仁王立ちしていた。
もちろん、ロードを手放して逃げたとしても、絶対に逃がさない自信はあったが。
警察A「通報したのはどなたですか?」
俺「俺です。公衆トイレで用を足している間に、この女が俺の自転車を盗もうとしたんです」
警察A「この自転車は、本当にあなた(俺)のものですか?」
キチ「違うわよ!こいつがいきなり、私の自転車掴んでわけのわからないことを言いながら警察に電話したの!頭がおかしい!慰謝料!」
俺「いや、この女の言う事は間違っています。俺は○○に住んでいて、この自転車でやってきたんです。(現実で慰藉料とか言うやつ、いたのか…)」
警察B「お互いの主張が食い違っているようなので、それぞれお話を伺ってもいいですか?」
ここで、お互いが離れ離れになったんだが、
俺が「この自転車、倒れでもしたら廃車なんです!そこの壁でいいんで立て掛けさせてください」
と強くお願いして、とりあえずはキチの手元から離れさせた。
その後…