2024/06/08
「私はこんな子いらなかったんです」
「こうして私を困らせるのが好きなんですよ、この子は」
「上のお姉ちゃんたちは、いい子ばかりなのに…
この子だけは生まれたときから躓いてばかりの人生だわ」
夫が顔をしかめてたしなめても、まだしゃべる。
すると後輩が突然叫んだ。
「お母さんは私をいらないって言うけど、先輩はそんなこと言わなかった!」
「先輩は、初めて私を認めてくれた!!すごいって言ってくれた!!」
「本当の妹より可愛いって言ってくれたのに、どうして私を置いて辞めちゃうんですか!」
「そのお腹の子がいなくなったら、会社辞めませんよね!?」
と、わんわん泣く後輩を呆然と見つめることしかできなかった。
警察沙汰にはしないが、二度と近づくなと念書と慰謝料で片をつけた。
彼女は精神科に通院することになって、その後はわからない。
仕事をもできて、優しくて明るくて、
本当に可愛い後輩だと思っていたから、すごく落ち込んだ。
今はもう、彼女がどこで何をしているのかもわからないけれど、
あの母親からは逃げて、幸せなことを願ってる。