おはなしカフェ

「こんな顔でいつまでもへらへらしていられると思うなよ」

time 2023/03/05

「こんな顔でいつまでもへらへらしていられると思うなよ」

女性はその事故が原因で顔に大やけどを負っていて、
事情が分かっていた先輩以外の三人は一目見たときに息を飲んだ。
家には昼間ということもあり、ご主人は仕事で会社だといい、
三歳くらいの男の子がリビングで一人でトランプ遊びをしていた。

この子もまた顔に大やけどを負っていた。ただ母親より明らかに状態がひどく、
もはや顔の原形をとどめていないくらいで、鼻には管が通してあった。

やけどのせいで表情が読み取れないものの、彼女の声や口調、物腰の柔らかさで我々も次第に
リラックスし、和やかな雰囲気で取材がはじまった。
先輩が前もって得ていた情報を基に裏を取るようにやり取りをしていた。

885: 883 2012/07/05(木) 01:02:55.98 ID:wwOqm/tm

ところ、日が沈み始め、窓から西日が差し込むと女性の顔半分を照らしだした。
その熱が気になるらしく、彼女は時折顔の筋肉をむずむずと動かす。
私は、何気なく、ソファから立ち上がり窓のカーテンに手を伸ばしながら、
「カーテン、しめましょうか」と訊いた。すると彼女は
「なんで」と言った。今までとは違う声のようだった、威圧するような。
その場の空気が明らかに変わった。

それをきっかけにその後のやりとりがおかしくなる。
彼女はこちらが聞いたことに答えようとせず、
「あなた(私)は、どこに住んでいらっしゃるの」とか
「わたしの主人を知っているの」
「あの子(キチママ子)はあなた(妹)が連れて行ってくれるの」など、発言がおかしい。

886: 883 2012/07/05(木) 01:04:17.50 ID:wwOqm/tm

さすがに先輩も、これはマズい、と思ったのか、話を切り上げて「じゃあ、今日はこのへんで」
と、立ち上がろうとする。すると女性は「今日は、と言うことは明日もくるのね」と立ち上がる。

我々も立ち上がり早々と玄関に向かった。女性はすぐ後ろをついてくる。
途中、男の子の体に足をぶつけても気にすることなく。
男の子は奇妙な悲鳴をあげて泣き出した。
我々は自分たちの靴を手に持ち、家を出た。
女性は、玄関のドアの前にたち、「近々、私がそちらに伺うわ」と言った。

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