2024/06/08
祖父「そりゃ、可哀想だ、辛かっただろうに、色々考えさせられるなー」
奥様が「フッ」とやり切った表情になる。
祖父「……ところで、アンタはこの犬たちを、ブランドバックか何かと思っているのか?」
奥様「え、えっ?」
祖父「そうするしか注目浴びれないのか?
”虐待されていましたー!”って言うブランド名が欲しかっただけなのか?
”動物助けています!” と言う肩書きが欲しかったのか?
この子らは別として、お前にはそう言う感情しか抱けない。
本当に普通の善良な人間なら、”虐待”と言うトラウマを犬から拭う方が大切じゃないか?
犬が完全に人に懐いて、そこで人知れず”あー、良かった”。
そうして笑える方がワシは好きだ」
奥様「( ゚д゚ )……」
こんな感じで硬直したかと思うと、三十秒ぐらいしてから顔をカーッと赤くして、子供の様に泣き出して大変だった。
幸い名刺に書かれていた家電に電話をかけ、息子さんに迎えに来てもらったが何度も謝ってた。
ただ、去り際。
祖父「ワシなんかより、犬の方がよっぽど耳いいぞー。
お前の小言なんか全部聞き取ってるかもしれないぞー」と悪戯に笑いながら言った。
元々祖父は、近所でもかなり有名な犬のブリーダーだったらしく、犬が大大大好きすぎるし、団体に所属しないで悪徳ブリーダーを懲らしめてた(仲間と)様な人。
故に、愛護団体にも顔見知りの人がいるらしく、名刺に書いてあった会にも知り合いが居た、
名刺から会へ電話し、その人への連絡先を確認。
その後、ことの事情を全て説明。
電話口から聞こえてくる相手は
「すみません」と、何度も謝ってる声。
ただ、最期に。
祖父「ほんじゃ、虐待されていた犬で、あの野郎(奥様)が一緒に助けたのは本当なんだな?
ってことは、虐待されていた犬をあそこまで元気にしたのは本物だな。
毛の手入れも、元気な方の犬の表情も、体格も、全部よかったからな!
”その気持ちを忘れないように”と、伝えておいてくれ!」
祖父曰く、犬好きに”根から悪い奴”は居ないらしい。
ちなみに、その奥様は最近ここらを散歩ルートに入れた人らしく、近所の犬を飼っている家から
『虐待自慢』するから、煙たがられてたそうな。
ただ祖父は
「もう一度、この道通らねーかなー、犬可愛かったなー」
と、きつく言い過ぎたのを後悔しているようです。