おはなしカフェ

「彼女本当に困ってるんですから」 「困らせてんのはお前だろ」

time 2025/04/12

「彼女本当に困ってるんですから」 「困らせてんのはお前だろ」

そいつはその半年位前から事あるごとに彼女を口説こうとしていたのは知っていた。「可愛いですよね」「俺なら加奈さん放っておかないな」「命かけられますよ」とか、自分に彼女がいる時でさえ加奈に対してモーション掛けまくってた。
段々それがエスカレートしてゆき、時には学食で俺含め何人かで一緒にいる時でさえも声をかけていた。
アメフトは学内でも幅を効かせていたからそれだけで気持ちが大きくなっていたのもあるんだろうが、完全に俺は舐められていたと思う。
確かに奴は180センチ強のムキムキ体型、俺は170弱の中肉中背の一見冴えない奴だったのもあるだろう。

639: 恋人は名無しさん 2012/07/07(土) 09:50:42.15 ID:6wFMIx+F0
ただ彼女は俺が奴を嫌っていたのは分かっていたし、奴のあからさまな態度を嫌悪していたから、特に誘いに取り合うこともなかったんで気にしないことにしていた。まあ「油断していた」と言えばそういう事になるかもしれんが。

ある日同級生のアメフト部員から連絡があった。加奈とも共通の友達。
そいつの第一声、「お前、加奈ちゃんと別れたのか?」
全く意味が分からなかったが、後輩が加奈とやったという話をしているのを聞いたらしい。
よくよく考えると一週間位前、学祭辺りから加奈の態度が少しおかしかったような気がした。

640: 恋人は名無しさん 2012/07/07(土) 09:52:58.35 ID:6wFMIx+F0
で加奈に確認したら真っ黒。
学祭最終日に色んなサークル集まって打ち上げしたんだけと、その時酔わされてやったんだと。
酩酊させられてやられたんならそれ事件だから警察行こうって言ったんだけど加奈の歯切れが悪い。てか必死に阻止しようとする。
酔わされたといっても、加奈も満更でもなかったというオチ。
泣きながら言ってたよ。「俺がバイトばかりで相手にしてくれなかったから寂しかった」「後輩君はいつでも優しかったし、私を第一に考えてくれてたのが分かった」「私の為に彼女とちゃんと別れてくれたから」
耳を疑ったよ。七年も付き合ってこれかよ、ってね。

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