2024/06/08

20年以上前、当時健在だった祖父が所有地の整理を始めて、いくつか土地を売った。
まだバブルの恩恵が残ってた頃で、そこそこ高値で売れていく中、マンション開発に交渉された土地があった。
そこは、理由は不明ながら祖父は売りたくなかったらしいけど、相手側に「マンションかハイツを建設したい、最上階角部屋を破格値で分譲するから土地を売ってくれ」と言われ、一人暮らしの祖父を案じていた父達が賃貸住だった叔父夫婦にそこに住んでもらえばどうかと勧め、祖父も合意した。
で、マンションというには.微妙な高さのマンション完成。
そしたら、立地条件よし・広さや値段も手ごろだった為、完成前後に完売御礼になったらしい。
無論、叔父夫婦が住む予定だった部屋も。
話が違うと祖父や父達が相手先の会社に訪問したら、「証書もないですしねえ」とヘラヘラ。手違いで売買したのではなく、口約束だけで法的な書類がないのをいいことに、故意にやったんだろうとわかった。
新築の広い部屋に移れると思っていた叔父夫婦ショボーン。父や他の兄弟も、「高い勉強代だったと思うしかないな」と慰めた。
しかし明治生まれで二度の戦争経験者である祖父は引き下がらなかった。
何度も相手先に赴き、「近くに息子夫婦が来てくれると思ったからこそ売ったんだ、今からでもどうにかならないか」と訴える。
「もうあなたとも先方とも正式な売買契約が成立してますのでねえ。あまりしつこいようだと、警察に…」とやられたそうな。そうこうするうちに、購入者達の入居がほぼ完了してしまった。
祖父は、そのマンションの敷地三方を囲む形でまだ土地を所有していた。残る一方は山。マジ山。人の登り下りもキツそうな山。所有する土地に・・・