2024/06/08
彼女と、ちょっと高級なスーパーに行った時の話。
大学の頃、両親が旅行に来ることになった。
俺の下宿は部屋が余っていたので、宿として使うことになった。
それで、母が俺に
「久々に母の味を食べさせたい」
って言うので、ちょっと高めのスーパーで俺と彼女(丁度両親に紹介した)があらかじめ食材を買っておくことになった。
必要な品物を揃えてレジ待ちしてると、俺たちの後ろに並んでたマダムの子供が急にぐずりだした。
小学生くらいの子供は、
「早く、帰りたい、帰りたい、は・や・くーー」
と散々駄々をこね泣き叫んでいた。
しかし母親は
「うるさいわね、順番待ちしてるんだから黙りなさい」
と、かなりきつめに叱っていた。
待ってる間、カートにしがみついた子供が喚きながらカートを押すので、前にいる俺の脛にカートが当たってかなりイライラ。
しかも当たってるよと言っても聞かない。
でも子供のやることだしと思って我慢していた。
すると、見かねた彼女が母親に
「お先にどうぞ」
と言った。
するとその母親は、彼女の顔と買い物カゴを見比べると
「はんっ!」
と鼻であしらった様な声を出し、台に置いていた籠をおろそうとしていた彼女を体で押しのけるような形で前に割り込んだ。
急に籠を台から落とされる形になった彼女は、変に手首に力をいれたせか、手首を痛めてしまった。
しかし、相手は勿論、ありがとうのお礼もなし。
彼女をちょっと乱暴に扱われたこともあって、イラッとした俺は
「譲ってもらってその態度ってないんじゃないですか?彼女、手首痛めたんですけど」
と一言言った。
すると、その母親はかなり怪訝そうな顔して
「若者がこんな所で買い物?もうちょっと身の振り方を弁えたら?ここはあなた達の身の丈に合ってないでしょう?」
と言い、半ば落とす形で足元においた買い物かごを足でガスガス蹴られた。
そして
「食品床に置くなんて汚らしい!」
と捨て台詞。
さらに、客同士のトラブルがあるのに、レジの店員は見てみぬふりして母親の会計してるし、我慢の限界だった。
俺が口汚い罵りを言いそうになったところで、彼女が突然言った。
「申し訳ありませんでした…」