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ゲーセンで出会った不思議な子の話

time 2021/12/18

ゲーセンで出会った不思議な子の話

420: 1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/18(水) 01:10:37.72 ID:VEa4UjXG0
彼女の誕生日の日がやってきた。
まず、彼女の調子がよければいいが。行っても寝ている時が増えていたのだ。
そして俺は重大なことに気づく。
「俺、自分のタキシードとかねえじゃん…」
俺は仕方なく、スーツで行くことにした。ちょっと洒落たネクタイをすればいいだろう。
俺は、紙袋にドレスと想いを込めて、家を飛び出した。
そして、この日は俺にとって忘れられない日となる。
422: 名も無き被検体774号+ 2012/01/18(水) 01:11:29.83 ID:7Rw3FX/J0
なんか胸騒ぎが・・・こわい・・・
436: 1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/18(水) 01:15:59.80 ID:VEa4UjXG0
俺は途中でいい感じの花束を買っていった。
ブーケのつもりだった。
気分は新郎。楽しい気分で一杯だった。
病室に着く。彼女は、起きていた!
俺は心のなかで「やった」と思うと、彼女に向かって
「誕生日おめでとう!!」と言って花束を渡した。
彼女は一度「わっ」と言うと笑顔で
「嬉しいー!ありがとう~!」と言った。
437: 名も無き被検体774号+ 2012/01/18(水) 01:16:14.25 ID:vOnMAmMj0
奇跡を信じる
449: 1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/18(水) 01:21:20.94 ID:VEa4UjXG0
笑顔が返ってくるのが嬉しくて、嬉しくて、もう仕方なかった。
彼女「スーツなんて気合い入ってるねーw」
俺「ちっちっちっ。今日はこれだけじゃないんですよ」
正直緊張で胸がやばかった。
俺は紙袋から、想いを詰めたドレスを取り出す。
「じゃーん!」
彼女「え!え!何これ!!ウェディングドレス!?」
彼女は途端に興奮して目をキラキラと輝かせた。
465: 1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/18(水) 01:28:05.88 ID:VEa4UjXG0
彼女「え、え、え、どうしたのこれ!?」
俺「俺が作ったんだーw」
俺は照れながら、誇らしげに答えた。
俺「着てみる?」
彼女「うんうん、着る着る!!」
少し、大変だった。お母さんとか看護婦さんを呼んで、
どうにか彼女が着替えられる体勢にした。
その後、
彼女「着替えるから待っててね。」
といわれてカーテンが閉じられた。新婦のお色直しを待つ、新郎のような気分だった。
476: 1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/18(水) 01:37:41.97 ID:VEa4UjXG0
彼女「できたよー!」
カーテンが開いたその向こうには、
俺の作ったちょっぴり不格好な純白のドレスを着て、はにかむ彼女がいた。
「似合ってるでしょー?」
と彼女は笑いながら俺に尋ねた。
俺は、この日見たこの光景を一生忘れることはない。
彼女は、ただただ、綺麗だった。
嫌なことも辛いことも、何もかもがふっとんだ。
481: 名も無き被検体774号+ 2012/01/18(水) 01:42:43.06 ID:7Rw3FX/J0
ここまで一生懸命に人と向き合ったことないなぁ。。1は凄い。素直に人として憧れる
490: 1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/18(水) 01:49:53.79 ID:VEa4UjXG0
俺は彼女の手をとった。
そうすると、彼女は歌い出した。
「ばたふらいーきょうはーいままーでーの」
「どんなーときよーりすばらしいー!」
木村カエラのbutterflyだった。その歌は、彼女が歌い出すと
近くにいた看護婦さんまで歌い出した。
4人部屋だったんだけど、病室の人たちは笑って手拍子をしていた。
俺は彼女に向かって言った。
俺「一生にそばにいるね。」
彼女は「わたしも。」と小さく頷いた。
493: 名も無き被検体774号+ 2012/01/18(水) 01:52:47.73 ID:3YzCxcUB0
彼女さんが天使すぎて泣ける・・・。゜(゜´Д`゜)゜。
495: 1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/18(水) 01:55:20.94 ID:VEa4UjXG0
そういう流れだったのか、恥ずかしくて仕方なかったけど、
俺たちはお母さんやら患者さん、看護婦さんたちの前で
小さくキスをした。唇が触れ合うくらいの、優しいものだった。
そして何より、これが彼女との初めてのキスだった。
自然と拍手みたいのが起きてしまって、とても恥ずかしかった。
俺たちはお互いに見あって、笑いあった。
キスしたらそれがおかしくて、ふたりで笑いが止まらなかった。
537: 1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/18(水) 02:09:18.32 ID:VEa4UjXG0
その日は幸せのど真ん中にいた。
しばらく、スーツとドレスのままで二人で話した。
不思議な気分で、一生このままならいいのに、と願わずにいられなかった。
彼女はすごく喜んでくれた。
「ありがとう、すごく幸せ」と言ってつけている俺のあげたネックレスを握っていた。
「こんな日にはAnthemが似合う」と一人でフジファブリックのそれを口ずさんでいた。
しばらくするとお母さんが来て、
「写真撮るね。」と言って写真を撮った。
「何も言わなくても、幸せそうな顔してるねw」
そう言われたのが印象的だった。
540: 1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/18(水) 02:16:15.01 ID:VEa4UjXG0
俺にとって、彼女といられる日はいつも特別だったけど、
この日はそれ以上に特別だった。
楽しくて、時が止まれと思った。
この日が過ぎたあとも、しばらくは穏やかな日が続いた。
俺たちはいつも病室で一緒にいたけど、いてもいても足りないくらいだった。
普通だったら毎日毎日顔合わせてたら少しは退屈になったりするんだろうけど、
俺たちはどんなに話しても笑いが絶えなかった。
どうしてだろう、話しても話しても、もっと一緒にいたい、
そういう想いが募るだけだった。
549: 1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/18(水) 02:27:34.77 ID:VEa4UjXG0
彼女は病室でぼそっと100sのセブンス・ワンダーを歌って見せたことがあった。
彼女「この病院には七不思議があるんだよ。」
俺「へえ~何それ?」
それは彼女が勝手に考えたヘンテコなものだった。
実に下らない内容で、俺は一緒になって笑った。
俺「7つ目は?」
彼女「わたしが入院してることかなー」
俺はそれを言われて言葉を失った。
彼女「はやく、元気になりたいなー」
それが彼女が珍しく弱音を吐いた瞬間だった。
俺「すぐによくなるよ、必ずね。」
俺だって、すごく不安だったけど、信じるしかなかった。
553: 1 ◆WiJOfOqXmc 2012/01/18(水) 02:32:38.96 ID:VEa4UjXG0
12月になって、クリスマスが近くなったあたりから、彼女の様子は徐々に変わり始める。
現実が、音を立てて彼女と俺に牙をむき始めた。
彼女は辛そうにしていることが増え、行っても一日話せないことが増えた。
クリスマスイブもクリスマスも行った。
クリスマスは、まだなんとか調子がよくて、少しは話すことができた。
正念場だった。俺はストレス性の胃炎に何回かなった。
556: 名も無き被検体774号+ 2012/01/18(水) 02:34:07.57 ID:3YzCxcUB0
あうう、神様・・・・・・・・・

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