扉の前に竹でつくった野暮ったい飾りが出てた。
アパートなのにさ、表札がなんか大理石っぽい石に刻まれたもんをわざわざ紙を差し込むタイプのやつを上からとりつけてた。わけわかんなくなったよ。
家に通してもらった後もっとびっくりしたわ。
あいつん家父祖の代から切支丹一家だったんでさ、十字架とかある分には気にもならなかったんだけど、十字架のさ下以外の棒あるだろ?
それに鈎つけたような変な飾りがところ狭しと壁にかけられてんだ。
なんか俺が小学生のころ工作でつくったようなかたちのわるい変な壷とかあるしさ、ひょっとして、もしかしてこいつ生活苦のあまり変な宗教につけこまれたんじゃあ。そんな疑念が浮かんできてさ。
手近な壷に触ろうとしたのよ。
「触るな!加護を奪う気か!」
凄い形相だったよ。
ケンカだって何度もした仲だけどさ、不貞腐れたりとかいろんな顔見せ合ったけどさ、殺しかねないってレベルの恫喝なんて経験なかったぜ。
加護亜依が来るわけねーだろって冗談言って誤魔化したけどさ、その後俺の一挙手一投足をじっとみてるんだよ。
こんなことあるんだな。俺が親友だと呼んでた奴はとっくに死んでたんだよ。
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