2024/06/08
私子20才。
彼男35才。
A男20才。
お局様30才。
バイト先の別支店の店長だった彼男と会ったのは、全店舗合同の忘年会でのこと。
彼男は「何も言えなくて…夏」のボーカルにちょっと似てる、
結構イケメンっぽいおじさんだった。
忘年会は別店舗のスタッフと仲良くなるのが主な趣旨だったので
(店舗同士でスタッフの行き来がある)、
バイトの私子も参加している人たちとまんべんなく話をしてた。
その中で彼男とは特に話が盛り上がってお互いに
連絡先をこっそり手渡して、後日つきあうようになった。
彼男と年が離れていることは少し気になったけれど、独身だと聞いていたし、
何よりその当時の彼男はただ優しくて、私子をお姫様のように扱ってくれていたから、
年の差はあまり考えなかった。
つき合いはじめて半年くらい経った頃、彼男は私子を迎えに来るようになった。
彼男の店舗は私子の店舗より終わるのが早くて、私子が店を出ると、
彼男が駐車場の隅で車を停めて待ってた。
最初は凄く嬉しかったんだけど、毎日毎日バイトが終わると
駐車場の隅に停まってる彼男の車を見ると、何だか怖くなった。
つき合いはじめて8ヶ月目。
私子が帰るためにタイムカードを押した時、
社員の中でも最年長の女性(お局様)が、私子を呼び止めた。
「私子ちゃん、ちょっとだけいい」
「はい」
そのまま更衣室の隅っこに手招きされて聞いた話で、私子は愕然とした。
彼男は妻帯者、子どもも2人いて、10才(男の子)と8才(女の子)。
「私子ちゃん、知らなかったの」
「し、知りませんでした」
目の前が真っ暗っ、ていうのを実際に感じたのはこの時。
「やっぱりね、そうだと思った」