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ホームレスにギター教えてもらった話

time 2021/12/16

ホームレスにギター教えてもらった話

241: 2016/11/24(木) 01:30:07.43 ID:DX2dcY/Q
俺「どのくらい!?」
ジジイは溜め息をもらして呟いた。
ジジイ「わりいな。ビートルズはあんまり面白く無かったんじゃ」
俺「は!?」
ジジイ「ギターは下手くそだし歌も下手。曲作りも単純でバカみたいな英語ばかり。ホントにイギリス人か疑ったよ」
ここまでビートルズをこき下ろした人間は後にも先にもジジイ以外見たこと無い。あ、2chではチラホラいたかもw
ジジイ「俺はマディやチャックに憧れたしイギリスでブルースを知った。出張から帰って来たら耳に残った、目に焼き付いたフレーズを練習したさ」
244: 2016/11/24(木) 01:34:00.53 ID:DX2dcY/Q
ジジイ「そうすると意外と弾けてた。上手くなるのが実感出来てた」
ジジイ「そうすると知りたくなるのがチャックやマディは何を元に弾いてきたのか」
ジジイ「そもそものルーツはなんだか知りたくなったんじゃ」
ジジイの指がチラッと映る。切れてるのか指の色が変色していた。
ジジイ「それから少しして俺は見合いをした。それで結婚した」
245: 2016/11/24(木) 01:39:53.86 ID:DX2dcY/Q
俺「あれ?ジジイ奥さんいたんか?」
ジジイ「ああ、俺にはもったいないくらいの嫁がな」
なんで嫁がいるのにホームレス?あっ…
ジジイ「その嫁は”よしの”といった。俺より3つ上でいい女だった」
247: 2016/11/24(木) 01:43:04.30 ID:dmT+I6ej
色々あったんやろな…爺さんも
248: 2016/11/24(木) 01:44:13.77 ID:DX2dcY/Q
1つのギターが頭に浮かぶ。そうか、あのギターはそういうことか。
ジジイ「よしのは俺のギターをよく褒めてくれた。俺はもう30になろうとしていた」
徐々にジジイの目が潤む。俺は気付いてないふりをする。
ジジイ「会社でも出世した俺が30だったか?確か課長になったはずだ」
今考えれば国鉄の課長に30でなれるなんて化け物だよなw苦労したと今なら分かる。
249: 2016/11/24(木) 01:47:36.60 ID:DX2dcY/Q
ジジイ「俺が出世した辺りで音楽雑誌にあるバンドが載った」
ジジイ「俺はその時流行ってたビートルズは余り興味無かったがベンチャーズは好きだった」
ジジイ「俺は基本的に技術力があるやつが好きじゃけえなw」
ジジイは大笑い。そうだったんだと言って俺も少し笑った。
ジジイ「クリームだった。最初はふざけた名前だなと気にもとめてなかったんだがな」
250: 2016/11/24(木) 01:51:28.77 ID:DX2dcY/Q
ジジイ「そしたらロック好きの部下がな、持ってきやがった」
ジジイ「1日だけ借りて聞いてみた。俺は分かったんだな。ブルースの大切さをな」
ブルース。ジジイがしてた音楽はそういうのか。五十鈴も時々ジジイのブルースは本物だと言っていた。ブルースの本物?意味が分からなくて気にもしてなかった。
ジジイ「益々ルーツを探した。30過ぎてバカやったさwww」
大きく笑うが目は真剣な目付きだったのを覚えている。俺はジジイにとってブルースはとても重要なものと察した。
251: 2016/11/24(木) 01:55:42.03 ID:DX2dcY/Q
ジジイ「するとな、海賊レコードの主人がやってくれたさ!ブルースを見つけてくれた」
ジジイ「主人はアメリカから来たといった。見つけるのに苦労かけたわw」
ジジイ「俺の初めてのブルースはサンハウスじゃ」
今なら分かる。ジジイは永遠にサンハウスの背中を追い続けたんだ。だってリゾネーターなんて使わねえよな?
ジジイ「よしのもカッコいいですねと言いやがる。男だったら女の為にギターを弾くもんじゃろ!?」

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